テイラーの科学的管理法の基礎

今回は科学的管理の父と言われたテイラーの科学的管理法について書いていきたいと思います。

 

 テイラーはミッドベール製鉄所にに雇われた時、工員達の怠業を見ました。その原因は単純出来高制等を採用していたものの、工員が精を出して働き一定水準以上の成果を出すと、経営者が一方的に賃率引き下げを行っていたからです。このように、経営者側に対抗して、組織ぐるみで行う怠業は組織的怠業と言います。工員は、賃率の引き下げを恐れてあえて働かなくなったのです。

 テイラーはこれに着目して、生産管理の方法が仕事量や作業量、道具などが過去の記録や工員などの勘によって場当たり的な判断を行う成行管理を廃止し、時間研究や動作研究により課業を科学的に決定することにしました。

 テイラーはそれを確立するために1.課業の明確な割り当て2.仕事の標準化、単純化、専門化3.成功に対する高賃金4.失敗による低賃金の4つの管理原則を提示しました。これに沿って達成度に応じた賃率を適用する差別的出来高制を考案し、組織的怠業を解決しようとしたのです。

 

 また、テイラーは組織改革も行いました。単に科学的に設定しただけでは、組織的怠業は解決しませんので課業管理を実施できる組織構造が必要になります。テイラーはこれについて、①計画部の設置②職能的職長制度③例外原理の3つを上げています。この3つについては簡単に説明を入れておこうと思います。

 

●計画部の設置

 時間研究や動作研究、課業の設定など分析的、計画的な仕事をこの部門に集中させました。そして、この計画部が作成した指図票に従って仕事をすることが工員たちには求められました。このように、管理機能を作業職能から分離したことはテイラーシステムの特徴と言えます。

 

●職能別職長制度

 今まで1人の職長が指示・命令などの管理機能を行う万能的職長制度から職長の仕事を職能ごとに分化した職能別職長制度を提唱しました。これにより、職長の仕事は軽減され職能ごとの職長の養成や確保は出来るようになりましたが、総合的に管理できる管理者の養成が難しくなってしまったため、あまり普及しませんでした。

 

●例外原理

 例外原理とは、簡単に言ってしまえば基本的なものや原則的なものは出来るだけ下位に権限を委譲して、例外的なものなどについてのみ上級管理者の決裁を仰ぐ方法です。これによって、上級管理者は本来の活動に集中出来るようになります。

 

 テイラーの考案した科学的管理法はこんな感じです。ちなみに、この科学的管理法は弁護士のブランダイスによって命名された見たいですね。このテイラーの管理法は課業を中心に考えているので課業管理とも呼ばれています。

 この管理方法はロボットのように指示通りの課業をこなすことが求められていると点から機械人モデルと言われています。機械人モデルは人間性の配慮に欠けていることを後々指摘されてしまいます。

 

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参考文献

・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)

・某大手専門学校会計士テキスト

・某大手通信教育中小企業診断士テキスト