今回は経営管理論の父と言われているファヨールの管理過程論について書いていこうと思います。
そもそも、ファヨールって誰?と思うのでとりあえずファヨールについて簡単に書いておこうと思います。ファヨールは鉱山学校を卒業後、炭鉱会社のコマンボール社に入社しました。そして、鉱山技師、所長を経て社長に就任しました。ファヨールが社長に就任した時コマンボール社は倒産の危機に直面していていましたが、頑張って立て直しに成功しました。この時に、行き当たりばったりの管理よりも、理論的基盤に基づかせる必要さを痛感したそうです。ファヨールはこの経験を鉱山協会の50周年大会で訴え、この講演を書物にまとめられたのが、経営管理論の最初の書物と言われています。
ファヨールはこんな人です。個人的に、倒産の危機の時に社長になるとか嫌な時になったけど、現場上がりなのにちゃんと理論も駆使しながら立て直したってスゲー奴だなってのが最初の印象だった気がします。
私の個人的な感想はどうでも良いと思うので、中身について書いていきます。
ファヨールは、企業を有機的な組織体ととらえ、どんな企業でも不可欠な活動として次の6つの職能に分類しました。
1.技術活動(生産、製造、加工)
2.商業活動(購買、販売、交換)
3.財務活動(資本の調達と管理)
4.保全活動(財産と従業員の保護)
5.会計活動(財産目録、貸借対照表、原価、統制、等)
6.管理活動(計画化、組織、命令、調整、統制)
ファヨールは「管理」と「経営」を明確に区別し、「管理」はこの不可欠な活動の1つであり、「経営」はこの6つの活動の遂行を確保し、できるだけ多くの利益を確保するように企業を導くことであるとしています。この6つの活動にうち「管理活動」を除く5つはモノを対象としているのに対し、管理活動は人間や組織体を対象とするので、組織の上位階層になるほど、また、組織の規模が大きくなるほど重要性が増す特徴があります。
6つの活動のうち、管理活動については上位階層の任務の中でも大きな位置を占めるころもあり、諸要素として5つあります。上記の分類でも5つ書いてありますが、それについてちょっとだけ内容について書いていきます。
計画化:将来のことを考えて、活動計画を作成する。
組 織:企業における物的・社会的にな二重の構造を構成する。
命 令:従業員を機能させる。
調 整:活動と努力を統一させ、調和させる。
統 制:規準や命令に従って行われるように監視する。
ファヨールは、このような管理職能を遂行する能力は、学校教育でも取得可能であるにもかかわらず、行われてこなかったのは管理の教理をが欠いていることが原因であると考え、管理の理論の確立に踏み出しました。
ファヨールは、管理職能を遂行するために自らの経験を踏まえよく用いた管理の一般原則として、14の原則を提示しました。この14の原則についても簡単に内容に触れ列挙していこうと思います。
1.分業の原則:労働の専門化による能率向上や熟練形成の容易化。
2.権限ー責任の原則:公式的権限を補完する個人的権限と責任。
3.規律の原則:優れた管理者・明確な労使協約・適切な制裁による規律の確保。
4.命令の一元性の原則:1人の上司からのみ命令を受け取る。
5.指揮の一元性の原則:同一目標をもつ活動の指揮者と計画は1つだけである。
6.私的利益の公的利益への従属の原則:企業全体の利益の優先。
7.従業員の報酬の原則:公正で労働意欲を高める労働の対価。
8.集権化の原則:従業員の役割を増減させる分権化と集権化は程度の問題である。
9.階層組織の原則:命令一元性と迅速な伝達を確保するために架橋が用いられる。
10.秩序の原則:物的・社会的秩序のために適材適所をはかる。
11.公正の原則:従業員に対する好意と正義の結びつきにより公正が実現される。
12.従業員の安定の原則:従業員としての地位の安定と異動のバランス。
13.イニシアティブの原則:自ら計画・実行する創意を奨励し熱意・活動を引き出す。
14.従業員の団結の原則:命令一元性を守り、従業員の分裂や文書連絡の多用を廃し、団結を強化する。
ファヨールはこのように原則を提示しましたが、管理に関する問題に関しては、絶対的なものはなく、全て程度の問題であり、管理原則の適用に際しては知性、経験、決断力、節度が求められるとしています。
これらの管理原則は、必ずしも体系的・網羅的に提示されているわけではありませんが、管理の理論構築や実践のためのガイドラインとなりました。そして、ファヨールの考えは「管理過程論」として継承され発展していきます。
ファヨールについて簡単にかいていくとこんな感じになると思います。管理過程論はファヨールが始まりなだけであって、調べてみると色々なアプローチがあります。そんなこともあるので、タイトルを「管理過程論の基礎」にしてみました。
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参考文献
・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)
・某大手専門学校会計士テキスト