今回は資産評価について書いていきます。ちなみに、資産評価は深くやれば大学の卒業論文あたりは書けるようなものですが、深くやりません。いろんな議論があると思いますが、ここで書いていくのは現行制度で規定されている「取得原価」と「時価」について簡単に書いていきます。
●取得原価
取得原価は、資産を取得した時点の金額で評価するものです。このように書くとちょっと難しく感じますが、簡単に言ってしまえば買った金額を使うってことです。 これについては、企業会計原則によって規定されていますね。
ちょっとしたイメージですが、例えばある資産を100万円で買ったとします。そして、5年後ぐらいにその資産の価値が値上がって200万円になったり、逆に値下がって50万円になったとします。しかし、この取得原価で評価するということは買った金額100万円で帳簿に計上するということになります。この考え方は、過去の事実に基づいた金額ということで歴史的原価(Historical Cost)と言ったりもします。
取得原価は、客観性や検証可能性が確保されるとともに、未実現利益の計上を排除できるという長所があるが、取得原価と時価が大きく異なってしまう恐れがあるなどの短所があります。
●時価(公正価値)
時価とは、言葉からなんとなく予想ができるとおもいますが、今の価値で評価するものです。ただ、時価といっても算定方法が1つではありません。だからめんどくさいのですが・・・。ちなみに、この時価を使うことは「金融商品に関する会計基準15項」に規定されています。詳しくは説明しませんが、参考までに時価にはどんなのがあるのか簡単に書いておこうと思います。
・取替原価(再調達原価):改めて市場で買った時の価格で、算定する方法
・純実現可能価格(正味売却価格):現在の売値から、付随費用を控除して算定する方法
・割引現在価値:将来キャッシュ・フローで割り引いて算定する方法
ざっと書くとこのようなものがあります。割引現在価値は良く分からないかもしれませんね
それでは、時価に関してもイメージというか例を見てみましょう。よく例としてあげられるのは「売買目的有価証券」です。簿記をやっていれば、「売買目的有価証券評価益」とか「売買目的有価証券評価損」とか書くのがめんどくさいと思った人は少なからずいるでしょう。私はそうでした。最終的には省略して書いてしまっていましたけどね。それはさておき、この期末に売買目的有価証券の評価を行っているが時価で評価していることになっています。また、固定資産の取得原価が時価と比べて著しく下落した場合には減損処理をしたりしますが、これも時価で評価したといえますね。
時価主義は、経済的実態に即した資産評価ができる長所がありますが、その評価について客観性に欠け、主観的な評価になってしまう可能性があるという短所があります。
資産の評価には、現行制度では2つの方法があり、このように2つ評価がある状態を「混合的測定」と呼ばれています。私自身やろうとはあまり思っていませんが、資産評価については調べてみると色々あるので、他の考察ブログや本を読むことをオススメします。大学の先生みたいなことを言ってしまいますが、できれば本の方が良いと思います。
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参考文献
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)
・桜井久勝著「財務会計論講義』(中央経済社)
・某大手通信教育中小企業診断士講座テキスト
・某大手専門学校会計士講座テキスト