PIPというアイドルグループ

 今回は、事実上の解散状態でもある濱野智史氏がプロデューサーをしていたアイドルグループ「PIP」について、私見や個人的に「こうすると思ってた。」ということも書きながら書いていこうと思います。たぶん、遠まわしに濱野智史氏へのディスリも入ると思うし、「結果論だろ!」と思う人もいるとは思います。ただ、私はこの社会学者でもある濱野智史氏がどのようなプロデュースをするかに興味があり正直ウォッチング対象としていました。

 さて、まずPIPというアイドルグループはどのようなものかを簡単に説明しますと、グループの中に将来プロデューサーになれるような人材を育成しながら、プロデュースする人とされる人が存在する二層構造となっているアイドルグループを目指すと言うものらしいです。詳しくは→PIPのコンセプト

 確かにこの考え方は上手く行えば良いアイディアかもしれません。しかし、結果的に失敗に終わったと言えます。では、なぜ失敗終わったのかを私なりに考えてみたいと思います。

 PIPが結成された2年前の2014年は今よりアイドル戦国時代の状況は強かったと考えられますまた、ホームが東京と言うことで激戦区である秋葉原ではないものの数多くのアイドルグル―プが存在する地域であると考えられます。そこには、興味を持つ人が集まるというメリットもあるとは思いますが、ファンの取り合いになってしまうなどターゲットを絞りにくくなってしまうというデメリットがあると考えられますね。例えば、地元アイドルならばこのターゲットについては明確なので、そこを強みとして戦略を立てることが出来る可能があります。しかし、この時PIPの強みは濱野智史氏の知名度ぐらいしかなく、他の地下アイドルとほとんど変わらない環境であったと考えられますね。ちなみに、戦略的な話をするのであれば、業界内のポジションがフォロワーであると考える事ができ、リーダー、簡単に言ってしまえばAKB48になると思いますが、このような業界のリーダーポジションであるやり方等を模倣すると言うやり方は間違ってはいません。ただ、個人的にはそこにちょっとした差別化をする必要があると思いますし、勉強不足かもしれませんがゴールに向かうための戦略は正直良く分かりませんでした。

 確かにアイドルグループのプロデュースは簡単なものではないと思います。それこそ、1つの会社を作るのと同じですからね。この辺を分かってないでプロデュースしてしまうと、発想が良くても失敗してしまう可能性は高くなってしまいます。なので、営利活動を行うという点も意識しながら戦略についても含めて私が感じたことを書いていこうと思います。

 まず、PIPの第1期メンバーは約20名ほどいるみたいです。正確な数字は覚えていませんが個人的にちょっと多すぎる気がします。例えば、1か月1人につき交通費等も含めて2万円程度かかるとすると、私の中でアイドルが軌道になるかどうかの正念場は2年後だと考えているので、単純計算で元手は1000万円程度なければなりません。これに関しては実際にレッスンやイベントなどに出るために、交通費を自己負担になってしまっているメンバーはいたみたいなので、運営費用に余裕がなかったのは容易に想像が付きます。ただ、この交通費を自己負担させてしまうというのは営利活動を行う組織としてはやってはいけない気がします。PIPの目的を読む限り、アイドルがブラック企業化していく事を問題視しているのに全く逆の事をしてしまっています。それこそ仕事のための交通費を自己負担させるのは、ブラック企業のレッテルを貼られるレベルです。また、濱野氏はプロデューサーとして全員を管理及び指導しなければならない立場になるので、最初は多くても1人が管理できると人数と言われている10名程度にするべきだったと考えられます。

 と、言うことで、ここでは何を言いたいかと言いますと、損得勘定が出来ずにいきなりキャパオーバーの人数を入れてしまったのではないかと言うことです。例えば、所謂プロデューサー候補生をのみを第1期として5名から10名に絞り、軌道に乗るまではプロデューサー候補のみで活動していくべきだったと思います。そうすれば、10名としても2年間にかかる金額は500万円程度になります。また、人数が少ない分、1人1人をプロデューサーとして育成することが出来たかもしれません。そのプロデューサー候補者にファンが付き、そのプロデューサーが作ったグループだったらと言うことで、そのプロデューサーのグループを箱で押すこともあったかもしれません。

 さて、次に感じたことはネットの使い方です。このネットと言うのは、ホームページやSNS、動画共有サイト等です。私自身、最初に書いた通りウォッチング対象として見ていると書きました。そこで、私がPIPについて興味を持った時に最初に取った行動は濱野智史著「アーキテクチャの生態系」と言う本を読むことです。これからどのようにプロデュースしていくかのヒントになると思ったからです。これに関しては、定期公演の動画をアップし、ネットを通して家にいても会場の雰囲気を感じてもらうような取り組みをしており、やはりこのような本を書いた人だなと思った反面、映像がワンパターンであり、メンバー個人個人の特色が見えないものばかりなのが残念でした。僕がイメージしていたのはもっと個人個人の特色が分かるようなもので、それこそ、ラジオ形式の動画でも良いし、メンバーに作らせてみるのも面白かったかもしれません。さらには、大体30分程度と決め、毎週○曜日にアップというのが個人的な理想でしたね。

 組織がちゃんと出来ていないアイドルグループの運営に良くみられる傾向として、勢いがあるのが最初だけで後はなぁなぁになってしまうことです。これは6か月ぐらいホームページやブログを更新しなくなってしまい、個人的な表現に成ってしまいますが、死にホームページや死にブログになってしまうと言うことです。ただ、この時にもメンバーの人達はtwitterなどで情報発信を続けているケースがあり、運営に潰されるアイドルって多いのかなって思ったりしています。だからこそ、個人的には運営の方はもっと仕事感を持ち、例えば毎週○曜日には動画の更新っていうのをやれば継続的な情報発信が出来ます。さらには、メンバーの声や表情が伝わるような情報発信は個人的にとても好感が持てます。今の時代に会いに行かないと表情が見れなかったり声を聞けないような環境はもったいないような気がしますからね。

 そういえば、濱野氏が「PIPはNPOです。」と発言したみたいで、非営利組織だから金儲けは考えていませんっていう内容みたいですが、今の時代の組織はゴーイングコンサーン(継続企業)が当たり前です。最低限活動できる利益は稼がなければいけません。まぁ、これに関して濱野氏だけでなく、NPOの代表が普通に言う事もあるみたいですが・・・。

 話はそれましたが、次は個人的にPIPが事実上の解散にまで至った一番の原因と考えているところです。

 それは、濱野氏が現場からの卒業を発表したことです。これはリーダーでもあるプロデューサーがやってはいけない事だと私は思っています。これに関してはリーダーシップ論にも関わってくるのですが、このプロジェクト自体は濱野智史氏がリーダーで行われていると言えます。そしてリーダーシップというのは、「集団の目標設定を行い、その目標達成のために努力するように影響を及ぼす人」と言えます。今回のケースは、目標を設定した張本人が「みんなに目標を達成してほしいけど、自分はもうやめます。」って言って、さらには「でも、俺が気に食わない事には口を挟みます」と言っているようなものです。しかも、製造業を例とすれば、働いている工員の人達に向かって管理者が「経験はないと思うんだけどさ、ある程度は教えるから経理への提出書類とか生産管理は自分達でやって」と言っているようなもので、突然管理者がいなくなるという、現場を混乱させてしまう行動を取ったと言うことになります。しかも、何かと理由を付けてメンバーに権限を委譲したことで、ほとんどの責任が濱野智史氏からメンバーに移り、濱野智史氏の失敗をメンバー達が責任を取る形になってしまいました。濱野氏がイメージしているアイドルのブラック企業化を形は違うものの、濱野智史氏が批判していた部分に匹敵するぐらいのブラック企業化をしてしまった事になります。

 そして、これは、嘘か真かトークショーイベントで濱野氏の発言がPIPというかアイドルグループを否定するものだった言うのがありました。リーダーでもあるプロデューサーが冗談でも自身のグループの批判的な発言をしてしまったら、プロデューサーを信じて加入したメンバー達の不満は大きいものとなりますし、そんなリーダーについて行こうなんて思わなくなるのは当然です。もし、本当に自身のグループを批判するような事を言ってしまったのであれば、リーダーとして失格だと思いますし、PIPの卒業を決断したメンバーは正しい選択だったと私は思います。

 最後に、PIPは一応メンバーは残っています。そして、これからPIPが良くなっていくには、アップルみたいな話ですが、PIPというアイドルプロジェクトから濱野智史氏は追放した方が良いかもしれませんね。

 

 こう書いて見ると、完全に濱野智史氏へのディスリになってしまっていますね。でも、あれですよ。PIPはウォッチング対象で、もともと濱野智史氏にそんなプロデュース能力はなかったと思っていましたので、濱野智史氏は別に嫌いではないですし、ちゃんとネット社会に強い社会学者として見てます。このPIPについては死語を使って表現するのであれば「想定内」です。