流動資産について

今回は流動資産について書いていきたいと思います。ちなみに流動資産と固定資産の違いについては別に書いてあります。

流動資産と固定資産

まず、流動資産については当座資産、棚卸資産、その他の流動資産の3つに分類されることがあるので分類ごとに書いていこうと思います。

1.当座資産
当座資産は、イメージ的に言えば短期的に支払いに使用できる資産になると思います。具体的に言えば、現金預金・受取手形・短期貸付金・有価証券になります。せっかくなので簡単にですが1つ1つ書いていきたいと思います。

・現金預金
まず、通貨についてはもちろん現金に入ります。ただ、通貨以外にも小切手、期限の到来した公社債の利札、株式の配当金領収書などがあります。これらは「通貨代用証券」と言ったりします。そして、預金については銀行の預金や郵便貯金、金銭信託などがありますが、長期の預金は現金預金ではなく「投資その他の資産」になります。

・受取手形
受取手形は商品を販売したとき、現金の代わりに渡し、期日が到来(満期日)した際に現金化する手形債権になります。また、手形は満期日前に銀行に持って行き、割引料を払えば現金化することもできます。これを手形割引といいます。さらには、仕入の際に手形の裏面に署名をすれば支払いにも使用できます。これを裏書譲渡と言います。

・短期貸付金
短期貸付金は1年未満の貸付金になります。ちなみに、1年基準があるので1年以上の貸付金については流動資産になりません。

・有価証券
有価証券は株式、社債、国債などのことを言ったりします。具体的に何かを知りたい方は金融商品取引法2条1項を見てください。
株式は売買目的で保有する株式が流動資産になります。売買目的は株式の値上がりを期待して保有し、短期的に売買を行う目的で保有している株式になります。株式には関係会社や子会社の株式を保有する場合もありますが、もちろんそれは流動資産にはなりません。
次に社債や国債については満期日によって変わってきます。基本的には利息を得るために保有しているものになります。これも1年基準がありますので、満期日が1年未満であれば流動資産になりますが、1年以上であれば固定資産になります。

2.棚卸資産
棚卸資産を具体的に書くと下記の4つのいずれかに該当するものになります。

(イ) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役
(ロ) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役
(ハ) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨
(ニ) 販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨

これは「連続意見書第四・第一・七」に書いてあります。

すごい簡単に言ってしまうと、売上に直接結びつく資産になります。棚卸資産は1年を超えても流動資産になり、例外的に固定資産にはなりません。
これに関して良くある話をすれば、一般の会社であれば「建物」とか「土地」、「車」などは基本的に固定資産に分類されます。ただ、不動産業を行っている会社では売るための「建物」や「土地」は棚卸資産となるため、固定資産に分類されません。また、カーディーラーや中古車販売会社にとって「車」は商品ですの固定資産にはなりません。もちろん自社で利用するものは固定資産になりますけどね。

3.その他の流動資産
その他の流動資産については前払費用や未収収益、立替金などがあります。これについても1年基準が適応されますので、1年以下のものについては流動資産になり、1年以上のものは固定資産に分類されることになります。

今回は流動資産について簡単に書いてみました。有価証券や棚卸資産についてはそれだけをテーマにして書ける内容なのでいずれ書いていきたいと思います。

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参考文献
・桜井勝久 財務会計講義 中央経済社
・片山 覚他 入門会計学 実教出版
・飯野利夫 財務会計論(三訂版)同文館

会計とは(私見含む)

僕は大学で会計を専攻し卒業しました。ただ、僕には当たり前の「会計」って言葉だけど、そもそも会計って何?と言われてしまうと上手く説明できる自信がありません。ブログでは会計についてポイントを絞って書いていたりしますが、ここで改めて「会計とは何ぞや」ってことを個人的な考えも含めながら書いていきたいと思います。

1.定義
これは私が大学で習った定義になりますが、「会計は、ある特定の経済主体の経済活動を、貨幣額などを用いて計数的に測定し、その結果を報告書にまとめて利害関係者に伝達するシステムである。」(桜井久勝 財務会計講義第12版)というものになります。ちなみに、この本は大学のゼミの最初の本だったので私の財務会計論のベースはこの本になっているかもしれませんね。
さて、この定義から分かるように会計の条件は以下の2点の条件を満たすものなのかなって感じになります。

・経済主体の経済的活動を計数的に測定
・利害関係者へ報告する

昔も今も財産の一部でも任せた人から報告をしてもらうのに必要なのが会計だと私は思っています。西ローマ帝国の貴族と奴隷、中世イギリスの荘園における領主と執事との間に行われた会計責任を明らかにするために代理人会計と呼ばれるものがあったみたいなので。
そうすると、会計は何かと簡単にまとめてしまうと、利害関係者へ報告するシステムの1ついうことが出来ると私は考えています。

2.会計の領域
会計の領域については、定義の中の「経済主体」の話になるのかなって感じです。
まず、利益を追求するかどうかによって「営利会計」と「非営利会計」に分けることができます。営利会計は、商店や会社のことで一般的に企業と呼ばれてるものが対象となっており、企業会計と呼んでいます。ちなみに、このブログではこの「企業会計」がメインとなっていくと思います。他方、非営利会計は家計や行政(公会計)、非営利法人(非営利法人会計)などが対象となる会計です。

さらに、企業会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに分けることが出来ます。この2つの内容を書いていくと長くなりそうなので、ここではざっくりと「財務会計→外部報告用」で「管理会計→内部報告用」というイメージで考えて頂けたらと思います。

この内容は前にもブログで書いていましたので参考までに・・・「会計の領域

3.財務会計の情報提供機能
財務会計の情報提供機能って書きましたが、書きたいことは「誰のために、そして何のための会計なのか」ってことです。定義の中では「利害関係者」に関わってくる話ですね。ここについては、私見がだいぶ入っていると思います。

このブログの最初に書いた貴族と奴隷の関係や領主と執事の関係、現代で考えれば経営者と株主の関係であれば会計責任を明らかにするために必要であることは分かります。ちなみに、このような関係を「エージェンシー関係」と言います。

では、自己資金でお金も借りることもなく会社を立ち上げました。仮に税金もなかった場合は会計が必要かどうかと言われればどうでしょうか。利害関係者はいないし、必要はないのでは考えることが出来ると思います。しかし、商売する人は馬鹿ではありません。例えば、単純に売買をして稼ぐと考えた場合、仕入の金額よりも高い値段で売るのが普通です。この時に、メモレベルで行っていたとしても利益を計算し経営者はそれでいくら稼いだかを把握します。この時点で経営者が利害関係者となり、分かりやすいので法律の言葉を借りて例えるのであれば、法人と経営者の関係で会計の定義を満たすことになると思います。
※この段落の考え方は、完全に私見ですので鵜呑みにしないように注意してください。

上記ように考えた場合、1つ目は「経営者のために、利益を計算するために行う会計」と考えています。

2つ目は「株主のために、状況と配当可能利益を明らかにするための会計」と考えています。
これは分かりやすいと思いますが、典型的な「エージェンシー関係」が成立しています。株主が会社を所有し、経営については経営者に委託しています。そのための報告責任があります。

3つ目は「債権者のために、状況明らかにするための会計」
お金を貸した人(債権者)に対して、現在の状況を明らかにする必要があります。債権者はその資金を回収できるか追加投資をしても良いかどうかは関心どころです。その1つの重要な資料が会計資料となります。イメージでいえば、銀行と考えて頂ければ分かりやすいでしょう。

4つ目は「行政機関のために、納税をするための会計」
行政機関のためにというのは、適正な納税計算のために行うものです。

主な利害関係者は以上4つではないかなって考えています。もちろん、会計情報の利用者は取引先とか従業員とか他にいます。
日本では、4つのうち3つの会計について法律も絡んでくるので主な利害関係者としました。(参考:法律と会計

ちなみに、株主については金融商品取引法、債権者については会社法(商法、民法も関わってきます。)、行政機関については税法です。

以上のように、定義をもとに私なりに会計とは何かについて改めて考えて書いてみました。完全に概念の部分になってしまうのでこれを読んでもって感じはありますが、定義を理解しようとするのは大事だと思うし、少し学び直してみようと思っているので書いてみました。

1度投稿してから気付いたんですが、過去のを見ていたら「会計とは」って内容で書いていました。2012年のブログなので大学生の時に書いた内容ですね。
読み比べてみたら同じ定義について書いているにも関わらず別の視点で書いていてちょっと面白かったので良かったら読み比べてみて下さい。

会計とは

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参考文献

・桜井勝久 財務会計講義 中央経済社・片山 覚他 入門会計学 実教出版
・飯野利夫 財務会計論(三訂版)同文館