流動資産について書いたときに、当座資産のところで有価証券について少し触れました。
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流動資産について
「流動資産について」の参考文献を読んでいるときに、私の理解能力が乏しいだけかもしれませんが、有価証券って意外とややこしいものではないかと感じたので今回は有価証券について会計的な視点で書いていこうと思います。ちなみに、ここでは資産としての有価証券ですので取得した場合です。発行となるとまた別の話になってしまうので。
まず、有価証券の定義についてですが金融商品取引法第2条1項に列挙されています。本当は列挙しようと思いましたが、ちょっとめんどくさいので金融取引法第2条1項を見てください。
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金融取引法第2条1項
先ほども書きましたが、ここでは主として株式と公社債(国債や地方債などの公共債と民間の社債の合わせた総称)を取得する場合について扱って書いていきます。まず会社法の範囲になってしまいますが、株式と社債について定義を見てみますと下記のようになります。
・株式
株式とは、「株式会社における出資者である社員すなわち株主の地位を細分化して割合的地位の形にしたものである。」(神田秀樹「法律学講座双書 会社法」弘文堂)と定義しています。ちなみに、この地位のことを「社員」と言いますが、会社員も「社員」と言ったりします。この2つは全くもって別物になりますね。株主の地位を細分化して割合を地位的に形にするのは、多数の者が株式会社に参加できるようにするための法的な技術になります。これによって株主の権利行使や配当の支払を容易にします。ちなみに、株式を買うことは「出資」と言います。
企業ではこの株式を支配目的と利殖目的で取得します。
・社債
社債とは、「通常は、公衆に対する起債によって生じた会社に対する多数に分割された債権であって、それについて通常有価証券(社債券)が発行されるものをいう」(神田秀樹「法律学講座双書 会社法」弘文堂)とあり会社法では「この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、676条各号に掲げる事項(募集事項)についての定めに従い償還されるものをいう」と定義してあります。
このように書くと難しく感じますが国債や地方債と同じように、発行された債券を不特定多数の人が購入し期日が来たら購入した人たちに利息をつけて返します。っていうものですので、発行者側からすると株式と違って債務、簡単に言ってしまえば借金になります。
一応2つの定義を書きましたが、この2つの違いは発行者側の視点の方が分かりやすと思います。同じ資金調達の方法ですが、社債は借金ですが株式は借金ではなく簡単に言ってしまえば「お金を出すから、儲かったら頂戴ね」って感じだと思います。ちなみに株式会社についてはちょっと視点がズレているかもしれませんがブログで書いています。
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株式会社について
さて、ここからが本題になっていきます。
このような株式や債券(公共債、社債など)を購入すると有価証券という扱いになります。有価証券は所有目的によって扱いが変わったりしますし、保有する期間によっても変わってきます。会計上は4つに分類されますので、それぞれについて書いていきます。
1.売買目的有価証券
売買目的有価証券は、市場の価格変動によって利益を出そうする目的で保有している有価証券になります。この有価証券はいつでも換金することができるので決算などの際は、時価をもって貸借対照表価額とします。ちなみに、購入時の金額や前回の評価額の差額は「有価証券運用損益」として処理をし、この中には有価証券の売却によってできた差額も含まれます。
なお、この差額がでた有価証券のその後の扱い方として洗替方と切放方の2つがあります。売買目的有価証券の場合、切放法の方が適してますが、洗替法の処理も認められています。参考までにこの2つは下記のようなものになります。
・洗替法・・・前期末に計上した差額を期首に戻し入れ、いったん帳簿価額に復元して、新たな時価と比較する。
・切放法・・・前期末に計上した差額を期首に戻し入れることなく、そのまま帳簿価額とする。
2.満期保有目的の債券
満期保有目的の債券は満期まで所有する意思を持った債券であり、利息をを得る目的で保有します。また、満期保有目的の債券については1年基準(ワンイヤールール)が適用されますので、満期日が1年以上あるときは固定資産に分類され「投資有価証券」となり、1年未満のものについては流動資産に分類され「有価証券」となります。この時に受け取った利息については「有価証券利息」として計上します。ちなみに、満期保有目的の債券は基本的に時価は関係ないので原価で計上しますが、「やっぱり売買目的にしたい!」と思ったときは、売買目的有価証券となりますので貸借対照表価額は時価にする必要が出てきます。
3.子会社・関連会社の株式
子会社株式と関連会社株式は、親会社がこれらの企業を支配する目的で保有している株式なので自由に処分わけにはいきません。ですので、実質的な性質は事業用資産と考えられ、この株式は原価で評価し固定資産の関係会社株式になります。ちなみに、株式の持分割合は5割以上であれば子会社、2割以上であれば関連会社となるようですが、他にも基準があって判断するみたいです。ただし、株式の10割を持っている場合は完全子会社になります。
4.その他有価証券
その他有価証券とは、1から3までに説明したもの以外のものを言います。一番ざっくりしてますね。このその他有価証券でよく出る例が複数の会社が良好な関係を維持しようとしたり、事業上の関係を強めようとする目的でお互いに株式を持ち合う「持ち合い株式」があります。
この「その他有価証券」は原則的には原価によって評価し、固定資産の投資有価証券になります。
以上が、会計上で良く取り扱われる有価証券の基本的な内容だと思います。たぶん、もうちょっと突っ込める内容があるかもしれませんが、ちょっと難しくなってきそうだったので今回はここまでの内容としました。
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参考文献
・神田秀樹著「法律学講座双書 会社法 第十二版」弘文堂
・片山覚 他「入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス」実教出版
・飯野利夫著「財務会計論」同文館
・桜井久勝著「財務会計講義」中央経済社