オハイオ研究

今回はかなり短い内容になってしまいそう気がしますが、オハイオ研究について書いていこうと思います。

オハイオ研究はオハイオ州立大学の研究グループが、リーダーシップに仕事指向的な「構造づくり」と人間指向的な「配慮」といった2つの基本的次元があることを発見しました。「構造づくり」はリーダーが仕事内容について関心をもち、職務の構造や役割を規定することで、「配慮」はリーダーがメンバーに興味を持ち、良好な人間関係を形成し維持することです。
この両者をどのように組み合わせるかによって有効なリーダーシップが決まってくるとしています。オハイオ研究に調べるとよく出る図も簡単に作ったので載せておきます。

この図で配慮と構造づくりがともに高い「Hi-Hi型」を兼ね備えたリーダーが最も有効であると多くの実証的研究によって証明されましたが、「Hi-Hi型」だからといって必ずしも良い結果が得られるわけではありません。例外も多く、状況要因を考慮する必要があると判明しました。

オハイオ研究について書いてみるとこんなもんです。これを書いて思ったんですが、リーダーシップスタイルのいわゆる典型例はあるものの結局はその組織に適したリーダーシップのスタイルを判断しないといけないんだなって思いました。ただ、このオハイオ研究の考え方はリーダーシップ論を勉強していくうえで意外と基礎的部分になっていくかもしれもせんので、内容としては簡単かもしれませんが重要なのかもしれませんね。

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参考文献
経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<3>人的資源管理/経営法務』(中央経済社)
某大手通信講座 中小企業診断士テキスト

リッカートのシステム4

今回はリッカートのシステム4について書いてみようと思います。

リッカートのシステム4については前段階としてミシガン研究があります。ミシガン研究とはアメリカミシガン州立大学を拠点として展開された研究です。

リーダーを「従業員中心型」と「仕事中心型」の2つのタイプに分けて、従業員中心型が高い業績をもたらす有効なリーダーシップとしました。仕事中心型のリーダーの場合、集団の生産性は向上するものの、それが緊張やプレッシャーにつながってしまい、メンバーの満足度を低下させてしまいますが、従業員中心型のリーダーは集団の生産性と従業員の満足度を高めることができると判明しました。

こうした「従業員中心型」の思想がリッカートのシステム4に引き継がれています。

リッカートは、リーダーシップの特性や意思決定過程の特性などによって組織特性を研究し、生産性の低い組織と高い組織の違いを明らかにしました。そして、リーダーシップ、動機づけの強さ、コミュニケーションのプロセス、相互作用、意思決定、目的設定、コントロールなどの特徴に基づいて組織管理モデルを下記の4つに分類しました。

システム1:独善的権威型組織
システム2:温情的権威型組織
システム3:相談型組織
システム4:集団参加型組織

システム1とシステム2については、専制型と温情型の違いがあるもののトップダウンで決定し、厳格な管理が求められます。マグレガーのX理論とY理論でいうとX理論に基づいた管理と言えるでしょう。

参考→マグレガーのX理論とY理論

このような専制型の管理モデルは短期的に高い生産性を実現することが出来ますが、会社や上司に不満や不信感が生じ、コミュニケーションが低調で欠勤や離職率が高くなるなどして、生産性の低下を招くことになります。

システム3の相談型組織はシステム1やシステム2のように完全にトップダウンではなく、部下への配慮や限定的に決定への参加を認めているものになります。

最後にシステム4の集団参加組織は最も理想的なタイプであるとし、3つの基本的概念が存在すると指摘しました。

1.支持的関係:リーダーがメンバーをよく理解し、組織の中で支持され価値がある存在とみなされているという実感を持たせること
2.集団的意思決定:リーダーが組織内で連結ピンの役割を果たし、組織全体が円滑に機能することに貢献し、リーダーを中心とした仕事の方針や目標の決定などの集団的意思決定を行うこと
3.自主的な高い業績目標:リーダーが、メンバーによる自発的で実現可能な高い業績目標設定に導くこと

このような管理の下では、会社や上司に対して好意的な態度や高い信頼感が生まれ、コミュニケーションも活性化し、集団帰属意識も高くなり、長期間にわたり高い生産性を維持することができると参加型リーダーシップの重要性を指摘しました。

今回のリッカートの経営管理モデルとしてマグレガーの話と一緒に出てくるものなので、個人的には前回の続きというイメージで書きました。まだ2個ぐらいあるので、気まぐれで書いていきたいと思います。

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参考文献
経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)
経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<3>人的資源管理/経営法務』(中央経済社)
某大手通信講座 中小企業診断士テキスト

マグレガーのX理論とY理論

かなり間が空いてしまいましたが、ちょっとリーダーシップ論に関連しそうなこのマグレガーの人間観について書いていこうと思います。

マグレガーは働く人を2つタイプに分けています。イメージ的に仕事に対してネガティブな「X理論」と仕事に対してポジティブな「Y理論」として展開しています。それで、それぞれの特徴を見てしょう。

・X理論

1.生まれつき仕事が嫌いで、できることなら仕事を避けたいと思っている。
2.命令される方が好きで責任を回避したがり、あまり野心を持たずに安全を望んでいる。
3.強制・統制・命令され処罰される恐れがないと、十分な力を発揮しない。

この考え方を前提すれば、命令と統制によるいわゆる「アメとムチ」によって管理が行われることになります。これはマズローの欲求階層理論の低次元の部分を刺激するものだと考えられています。生活水準や教育水準が向上してくると欲求も高度化し、X理論の考え方を前提とした管理方法の有効性は低下していきます。

そこでY理論の管理方法が求められます。

参考→モチベーション(マズローとハーズバーグ)

・Y理論

1.仕事で心身を使うのは当たり前のことであり、遊びや休憩と変わりなく、もともと仕事が嫌いなわけでない。
2.自分がすすんで身を委ねた目標のためには自ら自分にムチを打って働く。
3.献身的に目標達成に尽くすかどうかは、それを達成して得る報酬次第である。
4.条件次第では責任を引き受けるばかりか、自らすすんで責任をとろうとする。
5.企業の問題を解決しようと、比較的高度の想像力を駆使し、手練を尽くし、創意工夫をこらす能力はたいていの人に備わってる。
6.現代の企業においては、日常、従業員の知的能力はほんの一部しか活かされてない。

この考え方を前提にして、従業員が企業の繁栄のために努力することで自分自身の欲求が充足されるような条件を作る管理方法を「統合原則」と呼んでいます。

マグレガーはY理論に立脚してモチベーションを高める具体的方策として従業員各自に目標設定を行わせる行わせる自主統制と能力開発の促進、従業員参加制度を設定する「参加型管理」や管理者のリーダーシップ訓練などを提案しました。

このように書いていくと、冒頭で書いたネガティブな「X理論」とポジティブの「Y理論」の意味が分かったと思います。原則的な考え方だとマズローの欲求階層によって管理の方法が変わるような感じですが、実際に組織に属してみると同じ組織の中でこの2つのタイプの人がいると感じます。私の中でも、なんとなくX理論っぽい人だなって思う人とY理論っぽい人だなって思う人がいます。そして私の独断ですが、仕事ができる人はY理論っぽい人の方が仕事ができる感じがしています。

個人個人でX理論タイプとY理論タイプがいますが、私がやりたいのはリーダーシップ論です。そうすると、個々ではなく集団としてみることが大事になっくると思います。まだ勉強不足で書いていないのですが、マネージャーとリーダーは違い、この内容は組織管理の内容になってきますでどちらかというとマネージャーが学ぶべき内容ですが、リーダーシップ論を考えていくとすればかなり参考になる内容ですね。

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参考文献
経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)
伊丹敬之・加護野忠男著『ゼミナール経営学入門』(日本経済新聞社)
某大手通信講座 中小企業診断士テキスト