会計を可能にするには基本的な前提が必要です。これがないと、整合的な会計はできません。この基礎的前提を会計公準といいます。この考え方は、演繹的アプローチですね。
今日、広く認められている会計公準には3つあります。①企業実体の公準、②継続企業の公準、③貨幣的測定の公準という会計公準です。今回はこれを1つ1つ書いていきたいと思います。
①企業実体の公準
会計を行うには何を対象として会計を行うかを定めなければいけません。それを定めるのが企業実体の公準です。この公準に従うと、会計が対象とするのは出資者とは独立した、企業そのものが対象であると考えます。これは、企業主体理論の考え方ですね。簡単な例でイメージしますと、例えば、家の一部が会社の事務所になっているとします。家の一部なので電気とか水はそのようなものは家のと一緒に請求されるとします。その場合、請求先は一緒でも会計の対象は事務所なので、事務所で使った分のみを計上するというようなものです。
また、企業がグループであったり、子会社があるなどした場合は、そのようなグループを1つの企業実体として取り扱い、連結財務指標が作成されます。なお、企業が1つ1つ作る財務諸表は個別財務諸表と言います。
②継続企業の公準
継続企業の公準は会計期間に関する公準です。今の会社は基本的に長期間的にやることを前提に経営しています。まぁ、普通に考えて「今年作る会社は、来年にはもうないんだよな」って思って経営している人はいないと思います。このように、継続的に経営を続けようとすると、経営成績とか財政状態を算出する時に、どこを基準とするかを決めなければ認識・測定することができません。そこで、この基準、つまり期間を人為的に区切ったものが継続企業の公準と言います。
ちょっと用語的なものですが、継続的に経営を行うことを前提とすることを「ゴーイング・コンサーン」といったりします。
③貨幣的測定の公準
会計を行う場合、バラバラの尺度でやっても良く分からなくなります。例えば、図形の面積を求めるときに、縦はメートル法で書いてあるのに、横がインチで書いてあったらややこしくなります。そして、会計の場合は、物事にバラバラの尺度でやっていたのでは何の意味もありません。ここで必要となってくるのは、共通の尺度です。そして、その尺度が貨幣額なのです。この貨幣額を用いることによって、企業活動の統一的な測定と報告ができるのです。
会計公準のこの3つを前提に今の会計は成り立っています。この3つをイメージしやすいのがあります。それは、損益計算書です。簡単に図にしてみました。
損益計算書の基本的なところを覚えておけば、会計公準は覚えやすいかもしれませんね。
_______________________
参考文献
桜井久勝 『財務会計論講義』、中央経済社
経営能力開発センター編、『経営学検定テキスト4 経営財務』、中央経済社