デリバティブ②(オプションの基礎)

今回はオプションについて書いていきます。前回、オプションの歴史についてちょっと書いておいたので、それとなくイメージが出来ていることを前提に書いていきます。私のブログではデリバティブ①の時にも書いたように初歩の初歩程度のレベルなので、オプションを組み合わせた投資戦略(ストラドルとかストラングルとかこのようなもの)については要望がない限り書きません。私が書く場合、表と図を大量に作らないといけなくなりそうだからです。

さて、オプションの定義は「ある将来の日に、あらかじめ約束した値段でモノを買う(売る)ことのできる権利」(大学の講義より)と書きました。この定義の意味も含めてまずはオプションの用語についてちょっと解説したあとコール・オプションとプット・オプションについて書いていきます。

○オプションの用語

用語に関しては、読んで行くうちにちゃんと理解できると思うので、ここではざっと箇条書きにします。出てこない用語もありますが、その辺は特別に解説しなくても分かると思います。

・期日(限月)→定義でいう「ある将来の日」のこと

・行使価格(ストライクプライス)→定義でいう「あらかじめ約束した値段」のこと

・プレミアム→簡単に言えば、権利に対する手付金のこと

・コール・オプション→買うことのできる権利

・プット・オプション→売ることのできる権利

・強気→価値が上がると考えていること

・弱気→価値が下がると考えていること

・アット・ザ・マネー(ATM)→権利を使っても使わなくても良い状態

・アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)→権利を使わない状態

・イン・ザ・マネー(ITM)→権利を使う状態

・ヨーロピアン→期日の1日のみ行使できるというもの

・アメリカン→期日までの間、いつでも行使できるというもの

・上場オプション→取引所などの大きいところでやるもの

・個別オプション→銀行等と1対1でやるもの

・ペイオフ→簡単に言えばお金の出入り

ざっと書けば、こんな感じでしょう。「ペイオフって、預金保険制度のことじゃね?」と、思う人もいますが、用語って分野によって意味が変わることが多いので、「オプションでの」って事で割り切ってください。

先に書いておきますが、説明するときに表があります。その表の中に「×」「〇」「△」があります。これを見るときに「×」がアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)で、「〇」がイン・ザ・マネー(ITM)、そして「△」がアウト・ザ・マネー(ATM)となっているのでちょっと意識すると良いかもしれません。

○オプションの基本的な考え方

①コール・オプション

コール・オプションは、プレミアムを支払い買う権利を得た状態です。期日を1か月後でプレミアムを100円として、簡単に言ってしまえば「価値がどうなるか分からないけど、100円払っておくから1か月後に1000円で買わせてね」って感じです。
コール・オプションをどのように考えるかを分かりやすくするために例を出したいと思います。行使価格が1,000円でプレミアムが100円のコール・オプションを買った場合を考えます。そして、期日の株価も含めて以下の表にまとめました。

文章だけでは分かりにくいと思いますし、色んな本にも似たようなグラフがあるので、上の表を基にグラフを作り、解説していこうと思います。グラフの見方としては、縦軸がペイオフで横軸が期日の株価です。

まず、期日のペイオフについて上のグラフを見ながら解説していきます。期日のペイオフは株価が上がると当然ですがペイオフが上がります。株価が200円上がればペイオフは+200円ですし、株価が400円上がればペイオフは+400です。1,000円以下が何もないのは、権利を行使しなければペイオフは何も変わらないからです。

でも、オプションは権利をプレミアムを支払って買うので、もちろん最初のペイオフはマイナスになります。ここでは、プレミアムが100円としているので、今日だけのペイオフを見ると下のグラフのようになります。

そして、期日のペイオフと今日のペイオフを総合すると下のようなグラフになります。

総合すると、期日のグラフから全体的に100円マイナスになる感じです。このグラフから分かるコール・オプションの特徴は、いくら株価が下がったとしても、権利を買っただけなので、プレミアム以上の損はしなくなるというところにあると考えられます。ちなみに、用語のところでも書きましたが、上のような図のように右上がりになる、つまり、株価が将来的に上がると考えることを「強気」って言います。

コール・オプションを買う人もいれば、もちろん売る人もいます。なので、売る側についても書いていきたいと思います。頭が良い人は、コール・オプションを買った時の逆にだなって考えれば良いと思いますが、私はそういう頭はしていません。

それでは、見て行きましょう。コール・オプションで使った表をコール・オプションを売る側の視点でちょっと変えたものを使います。

コール・オプションを売った場合で、買った場合と大きく異なることは、権利を利用するかどうかは相手が決めることになります。上の表でも、「相手のオプション利用」としています。売った方は相手が利用すると言ったら拒否ができません。

売る側のグラフについても見てみます。コール・オプションと比較しながら見ると良いかもしれませんね。まず、期日のペイオフは下のようになります。

見て分かるように、権利を買ったときとは逆に右下がりになります。ちなみに、1000円以下がないのは、1000円以下であると相手側が損をしてしまうので権利を行使することがないからです。また、権利を売る側はプレミアムをもらうことになるので今日のペイオフは下のようにプラスになります。

そして、期日のペイオフと今日のペイオフをコール・オプションの時と同じようにまとめると下のようになります。

総合ペイオフを見ると、プラスになるペイオフは上限が+100円になります。そして、株価が上がれば上がるほど、限りなくマイナスになってしまうことが特徴です。そんなリスクをしてどのような人が売るのかを考えると、株価が下がると考えている人です。プレミアムは確実にもらうことができるので、株価が行使価格以下ならばペイオフはプラスになります。ちなみに、用語のところでも書きましたが、このように株価が下がると考えていることを「弱気」って言います。

②プット・オプション
プット・オプションは売る権利を手に入れることです。こちらも期日を1か月後でプレミアム100円として簡単に言ってしまうと「価値はどうなるか分からないけど、100円払っておくから1000円で買ってね」って感じです。
プット・オプションに関してもコール・オプションと同じように表とグラフを見ながら解説していきたいと思います。例として、行使価格が1,000円でプレミアムが100円のプット・オプションを買った場合について考えます。そして、期日の株価を含めて以下の表にまとめました。

下のグラフから分かるようにプット・オプションは売る権利なので、値段が下がれば下がるほどペイオフがプラスになります。また、1000円以上のペイオフが変わらないのは権利を行使してしまうと損するため、普通は権利を行使しないからです。

プット・オプションを買うときもコール・オプションを買うときと同様にプレミアムを払うことになるので、最初のペイオフはマイナスになります。下のグラフを見て分かるように、コール・オプションのときと全く同じグラフになりますね。

そして、この2つを総合すると下のようになりますね。

こちらも、プレミアムを支払うので全体的に100円マイナスになります。このグラフをみると、株価が下がれば下がるほどペイオフ自体はプラスになりますが、良く良く考えてみると実質的な利益にならないということもあるということです。でも、基本的な考え方を学ぶだけならば株価が下がれば下がるほどプラスになるという解釈でも良いかもしれませんね。

プット・オプションに関しても、売る側についても見てみましょう。コール・オプションの時と同じように売り側の表を作ると下のようになります。

プット・オプションを売るとなると、期日のペイオフは下のようになります。

そして、プレミアムをもらうので最初のペイオフは+100円となります。

これも総合すると下の図のようになります。

プット・オプションの売る側もコール・オプションのときと同じで権利を使うのは相手です。ですから、相手が権利を行使すると言うと拒否はできません。売る側は基本的にプレミアムでペイオフをプラスにするので、プット・オプションだと株価が下がれば下がるほど、行使価格で買わなければならないのでペイオフは限りなくマイナスになってしまいます。

オプションの基礎についてはこのような感じです。この考え方を応用して色々な組み合わせを投資戦略をしていきます。デリバティブはあまりなじみがないと思うので、最初の基礎として導入として使ってもらえると幸いです。分かりにくいところは、コメントでもしてくれればちゃんと答えようと思っています。

_________________________

今回は、ほとんど授業を参考にしています。簡単に勉強してみたいと言う人は、専門書を買ってもいいと思いますが、証券外務員の1種のテキストを買うのも手かもしれませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です