今回は売上原価について書いていきたいと思います。そもそも売上原価って何かと聞かれれば、一言で言えば「売上の獲得に直接的に貢献した費用項目」となるでしょう。会計について勉強をしたことがある人は分かると思いますが、たぶん私のブログを読んでいる時点でそういう人は少ないと思います。
簡単な例をあげれば商品を仕入れて売っている場合はその仕入金額、商品を作っている場合はその商品を作るために掛かった費用とかそんなものです。
なお、ここでは商品を作っている場合は原価の算定方法を書いていく必要があると思いますので、単純に商品を仕入れて売る場合をイメージして書いていきたいと思います。まずは売上原価をどのように計上するかにあたって、簿記の話になってしまいますが、商品売買取引の記帳方法として4つの方法があるのでそれを簡単にですが書いていきたいと思います。
例として1,000円で仕入れたものを1,500円で販売したケースで考えてみます。
●分記法
分記法は商品を仕入れた際、その商品で記帳していきます。そして売上の際も商品自体を減らし、利益(商品販売益)とともに記帳していきます。この方法は個別に行っていくので販売の都度利益額を明らかにすることができ、決算整理仕訳を行わずに済みます。ただし、商品有高帳などのを細かく付けなければならず、多くの商品を扱っていたり、取引回数も多くなってくると現実的にこれを行える企業は限られてしまいます。
ちなみにこの処理の個人的に思うデメリットとして、帳簿を見ればすぐに利益が見ることができますが、売上を見ることができないと言うことです。計算すれば算出することはできますが、ちょっと分析とかしようと思ったときにめんどくさそうですね。
それでは、どのような仕訳を行うか簡単に記載しておきます。
参考までにですが、分記法での売上は下記のような式で出すことができます。
貸方商品勘定(売上原価)+ 商品販売益 = 売上
これは完全に私見になってしますが、昔は100点の商品があったらすべての商品有高帳を作って管理しなければならなかったので現実的ではなかったかもしれませんが、ITが発展している今の時代であれば商品ごとにPOS管理をして、システム上で商品有高帳を自動で作成すれば可能ではあるような気がします。
●売上原価対立法
分記法のデメリットで売上が見えないっていうのがありました。そこで、この分記法の考え方に近くて売上がみえる考え方で売上原価対立法というものがあります。その仕訳は下記のようになります。これであれば、売上と売上原価を見ることができますね。
このようにすれば、売上と売上原価みえるうえ、ちょっと難しい話になってしまいますが、発生主義会計の基本原則に合致した処理方法と言えます。
●三分割法
三分割法は、商品の取引を「繰越勘定」「仕入勘定」「売上勘定」を3つに分けて記帳していきます。この方式は簿記検定等を勉強する時にメインで勉強するものでしょう。三分割法は決算時に決算整理仕訳を行って売上原価を算出します。分記法はその都度売上原価を出しますが、この方法は基本的に期末に一括して計上します。簿記検定等を勉強した人は決算整理仕訳の時に「しーくりくりし」なんて覚えたと思います。これも仕訳を記載しますが、たぶん勉強する時は掛取引になると思うので、ここでも掛取引で書いていこうと思います。
仕訳は上記のようになりますが、ここから売上原価を算出するには下記の式で行います。
期首繰越商品+仕入高-期末商品棚卸高=売上原価
この式に当てはめると、3,000円(期首商品)+1,000円(仕入高)-3,000円(期末商品)=1,000円(売上原価)
となります。
●総記法
個人的にあまり馴染みのない記帳方法ですね。ここは詳しく書ける自信がないので参考程度に書いておきます。基本的な考え方は分記法と近いと思いますが、販売した際の処理が異なります。総記法の場合、分記法で「商品」と「商品販売益」を分けて処理しますが、これを商品勘定でまとめて貸方に書くというものです。なぜそんな処理するかは・・・正直分かりません。ただ、一応仕訳を記載しておきます。
特徴としては、決算時に商品勘定の差額が商品販売益となることでしょうか。簡単に仕訳を書くとこんな感じになるというのは分かりますが、レベル的には日商簿記検定1級の範囲なのでちょっと難しいです。私自身、検定で総記法が出てきたらたぶん解けないと思いますので詳しい説明は省略させて頂きます。
これらが売上原価を考える際に最低限必要な簿記の知識かもしれませんね。このブログでは簿記と会計を分けて考えているので、簿記検定の問題を解く知識としては足りないと思います。ただ、売上原価について考えるためには必要最低限の知識だと思って今回は書いてみました。
今回は売上原価を学ぶ上でどのように記帳しているかを中心に書いてみました。次回は払出単価と言ったりしますが、その金額について書いていこうと思っています。
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参考文献
・桜井久勝著「財務会計講義」中央経済社
・某大手専門学校日商簿記検定テキスト
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