リッカートのシステム4

今回はリッカートのシステム4について書いてみようと思います。

リッカートのシステム4については前段階としてミシガン研究があります。ミシガン研究とはアメリカミシガン州立大学を拠点として展開された研究です。

リーダーを「従業員中心型」と「仕事中心型」の2つのタイプに分けて、従業員中心型が高い業績をもたらす有効なリーダーシップとしました。仕事中心型のリーダーの場合、集団の生産性は向上するものの、それが緊張やプレッシャーにつながってしまい、メンバーの満足度を低下させてしまいますが、従業員中心型のリーダーは集団の生産性と従業員の満足度を高めることができると判明しました。

こうした「従業員中心型」の思想がリッカートのシステム4に引き継がれています。

リッカートは、リーダーシップの特性や意思決定過程の特性などによって組織特性を研究し、生産性の低い組織と高い組織の違いを明らかにしました。そして、リーダーシップ、動機づけの強さ、コミュニケーションのプロセス、相互作用、意思決定、目的設定、コントロールなどの特徴に基づいて組織管理モデルを下記の4つに分類しました。

システム1:独善的権威型組織
システム2:温情的権威型組織
システム3:相談型組織
システム4:集団参加型組織

システム1とシステム2については、専制型と温情型の違いがあるもののトップダウンで決定し、厳格な管理が求められます。マグレガーのX理論とY理論でいうとX理論に基づいた管理と言えるでしょう。

参考→マグレガーのX理論とY理論

このような専制型の管理モデルは短期的に高い生産性を実現することが出来ますが、会社や上司に不満や不信感が生じ、コミュニケーションが低調で欠勤や離職率が高くなるなどして、生産性の低下を招くことになります。

システム3の相談型組織はシステム1やシステム2のように完全にトップダウンではなく、部下への配慮や限定的に決定への参加を認めているものになります。

最後にシステム4の集団参加組織は最も理想的なタイプであるとし、3つの基本的概念が存在すると指摘しました。

1.支持的関係:リーダーがメンバーをよく理解し、組織の中で支持され価値がある存在とみなされているという実感を持たせること
2.集団的意思決定:リーダーが組織内で連結ピンの役割を果たし、組織全体が円滑に機能することに貢献し、リーダーを中心とした仕事の方針や目標の決定などの集団的意思決定を行うこと
3.自主的な高い業績目標:リーダーが、メンバーによる自発的で実現可能な高い業績目標設定に導くこと

このような管理の下では、会社や上司に対して好意的な態度や高い信頼感が生まれ、コミュニケーションも活性化し、集団帰属意識も高くなり、長期間にわたり高い生産性を維持することができると参加型リーダーシップの重要性を指摘しました。

今回のリッカートの経営管理モデルとしてマグレガーの話と一緒に出てくるものなので、個人的には前回の続きというイメージで書きました。まだ2個ぐらいあるので、気まぐれで書いていきたいと思います。

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参考文献
経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)
経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<3>人的資源管理/経営法務』(中央経済社)
某大手通信講座 中小企業診断士テキスト

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