マーケティングの定義

これからマーケティングについても書いていこうかなって思いまして、とりあえずは基礎の基礎ということで、定義についてちょっと書いていきたいと思います。私自身、「マーケティングって何?」と言われてちゃんと答えられる自信がありません。そこで、マーケティングについて一番最初に書くのを定義にしてみました。
ここでは、アメリカと日本のマーケティング協会の定義とちょっとしたコメントを入れながら書いていきますので、それぞれの解釈でなんとなくイメージして頂ければ良いと思っています。

それでは、最初はアメリカ・マーケティング協会(AMA)の定義から見ていきましょう。ちなみに、アメリカ・マーケティング協会のマーケティングの定義は時代とともに変わっています。その変遷も参考にすると良いかもしれませんね。

●1960年の定義
「生産者から消費者もしくは利用者への財の流れを方向づける企業活動の遂行である。」

これでも、何となくですが生産者が売る人に注目して企業活動をしていることがイメージできますね。

●1985年の定義
「マーケティングとは、個人と組織の目標を満足させる交換を創造するために、アイディア、物財、サービスについて、コンセプト形成、価格設定、プロモーション、流通を計画し、実行するプロセスである。」

1985年になると、少しでもマーケティングを勉強したことがある人は聞いたことがあると思いますが、マーケティングにおける4Pが意識されているのが分かります。4Pについては改めて取り上げて書いていこうと思っていますが、簡単に説明すると。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販売促進(Promotion)の4つのことを言います。英語部分の最初が全て”P”になっているのでこのような言われ方を良くしています。

●2004年の定義
「マーケティングとは、顧客価値を創造、伝達、提供し、組織とそのステークホルダー(利害関係者)に便益をもたらすように顧客との関係性を管理するための組織的な機能と一連のプロセスである。」

2004年になると、物やサービスから”価値”が重視され、顧客と企業組織の関係からステークホルダーと範囲が広くなりました。ただ、ステークホルダーと範囲が広くなり、マーケティングを顧客関係を管理するためのプロセスと位置づけられるようになりました。

●2007年の定義
「マーケティングとは、顧客やクライアント、パートナー、さらには広く社会一般にとって価値のある提供物を創造、伝達、提供、交換するための活動とそれに関わる組織、機関、及び一連のプロセスのことである。」

2007年では、大まかに言ってしまえば、企業組織とステークホルダーや顧客の関係から社会全体というようになったのが一番大きなところだと考えられます。これは、簡単に言ってしまえば、環境や健康についても配慮しようというものだと思います。まぁ、この辺は私の私見も入っているので、色んなサイトや本を読んで理解した方が良いかもしれませんね。

次は日本です。日本にも”日本マーケティング協会(JMA)”というものがあり、そこでも定義を定めています。

日本マーケティング協会(JMA)の定義
「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて市場の創造のための総合的活動である。」

個人的には一番分かりにくいような気がしますが、簡単に特徴を掴むとすれば、1.グローバル視点であること。2.全ての企業が対象であること。3.顧客との相互理解が重要であること。というような感じでしょう。ちなみに、日本のマーケティングの定義には注釈が4つほどあるので実際にサイトに行ってみてみると良いかもしれません。”日本のマーケティング協会(JMA)の定義”をクリックすればいけると思うので参考までに良かったら見てみてください。

まぁ、それぞれの定義をそれとなく書いてみましたが、イメージはできたでしょうか。マーケティングという特徴を私なりに掴むのであれば、顧客視点で考えるということでしょうか。これだけは、どの定義でも共通していると思います。ただ、この”顧客”の範囲にバラつきはある感じがしますが・・・。

最後に、マーケティングで有名な人の名前を挙げておきます。マーケティングについて勉強するならば「フィリップ・コトラー」は、押さえていて損はないと思います。というか、マーケティングを勉強していて、「フィリップ・コトラー」を知らないと恥をかくかもしれません。私自身もちょっとマーケティングを勉強をしようと思って、800ページ近くある「マーケティングの原理」という本を買いました。

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参考文献
・某大手通信教育中小企業診断士テキスト
・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)

為替と輸出入

先日、大学時代の友達と為替と輸出、輸入の関係の話になって、ちょっと上手く説明できなかったのでこれをテーマに書いていこうと思います。
まず最初に円高と円安について書いておきます。初めてやるとちょっと分からなくなってしまいますが、私なりの解釈を書いておきます。

円安と円高というのは、基準となるものと比較してその価値が高くなったか、安くなったかを考えるものになります。よく為替で出てくる基準となるものはドルですね。ここでも、ドルを基準で考えていきますが、円安か円高を判断するには基準と比較して考えます。仮に、ここでは1ドル=100円を基準として書いてきましょう。

円高→1ドルが100円未満になったケースです。例えば、1ドル札を100円玉を交換するとき1ドル=100円ならば普通に交換できます。しかし、1ドル=90円のように100円未満になると、1ドル札と100円玉を交換するときに1ドルが90円で交換できますので10円のお釣りがくるようになります。つまり、このケースだと10円分、円の価値が高くなったことになります。これが円高です。

円安→1ドルが100円より高くなったケースです。今度は1ドルが110円になった時の話です。1ドル札と100円玉を交換しようとしても1ドルの価値は110円となっていますので、交換できません。10円不足しているからです。10円不足しているってことは100円の価値が1ドルと比べて安くなってしまっているということになります。これが円安です。

円安と円高をざっくりと復習したところで、本題に入っていきましょう。ちなみに、ここで書くのは本当に基礎的なことで深いところは書きません。あくまでも、円高・円安になったら輸出入はどのような影響があるのかってことを書いていきたいと思います。深く書いてしまうと、金利とか物価とか株価とかその辺まで書かないといけなくなるからです。レベル的に言えば中学とか高校レベルかもしれませんね。ただ、需要(どれくらい求められているか)というのはちょっと絡んできますので、なんとなく頭に入れておいてください。

なお。ここでは、円高・円安で分けてかくのではなく、輸出をしている会社と輸入をしている会社で分けて書いていきたいと思います。また。例で出している金額はどんなとらえ方をしてもかまいませんが、個人的には合計で支払う金額という意味で書いています。

〇輸出をしている会社
●円高
輸出をしている会社は、例えば自分が作ったものや日本で仕入れたものを海外に売っています。その時に、円ではなく、ドルでやりとりします。例えば、10万ドルの売上があった場合、1ドル=100円ならば日本円で1千万円の売上になります。しかし、この時1ドル=100円だったものが1ドル=90円になってしまうと、1千万円だったはずの売上900万円になってしまいますよね。だからと言って、その分を値上げをしようとすると、需要が減ってしまうことになりますし、他の仕入先を探しはじめたりします。この需要が減ってしまうのは感覚的に分かると思います。誰だって、値上がったら買うのを控えると思いますからね。だから、円高になってしまうと輸出をしている会社はマイナスの影響を受けてしまいます。

●円安
今度は円安についてです。円安になると、円高の時と逆になるので、1ドルが110円になると10万ドルの売上があった場合、1千万円の売上だったのが円安になったことで1.1千万円の売上になります。そうなると売上が100万円増えることになりますし、さらには相手国にとっては安くなりますので需要も増える可能性もあります。したがって、輸出をしている会社にとってはプラスの影響がありますね。

〇輸入をしている会社
●円高
次は、輸入している会社について考えてみます。輸入をしている会社は海外から商品などを仕入れてそれを販売したりしている会社ですね。今度は10万ドルの商品を仕入れたとします。1ドル=100円だった場合、1千万円支払うことになります。ではこの時に1ドル=90円になったらどうでしょうか。1千万円で仕入れていた商品が900万円になります。そうなると、実質100万円プラスになります。そして、これをお客様に還元するという意味で「円高還元セール」なんて良くやってますよね。そうすると、安くなったことで需要が増えます。このように考えると輸入をしている会社はプラスになります。

●円安
では、円安の時はどうでしょうか。1ドル=100円が1ドル=110円になってしまうと、今度は1千万円で仕入れていた商品が1.1千円になってしまいます。同じ商品なのに100万円も多く払わなくてはいけなくなります。だからと言って、値上げしてお客様に負担させるようになれば、今度は需要が低下する可能性が高く、なかなか大きな値上げはできません。したがって、円安はマイナスの影響がとても大きいですね。

為替と輸出入について、自分なりに簡単に説明するならばこんな感じでしょうか。もっと詳しくやるのであれば、為替の決定要因や価格設定についてなど、経済学的な勉強が必要になってきます。また、このような為替のリスクにそなえるために、デリバティブ取引を行いリスクヘッジをするというようなこともあります。デリバティブについては書いてあるので興味があれば読んでみてください。

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参考文献
・仲俣汐里・菅下清廣著『AKB48でもわかる経済の教科書』(青志社)
・藤田康範著『よくわかる経済と経済理論』(学陽書房)

損益計算書の利益

 今回は久しぶりの更新ってことで、今まで貸借対照表について書いてきましたが、ちょっと損益計算書の方について書いていこうと思います。完全に気まぐれですが・・・。そして、今回書こうと思っているのが利益についてです。損益計算書の利益には、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」と色んな利益があって、覚えてしまえば分かるんですが、勉強したてとか久しぶりに聞くとちょっと戸惑うものですよね。いや、自分だけかもしれませんが。そんなこともあって、ちょっと利益について自分なりの解釈というか自分なりのイメージでちょっと書いていきたいと思います。

●売上総利益
 売上総利益は売上から売上原価を引いた利益です。商品を仕入れて売っている人は、商品の売上から仕入を引いた利益のことで、製造業では売上から作った商品の原価を引けば出ます。会計用語ではありませんが、粗(荒)利益なんて呼ばれ方もします。

●営業利益
 営業利益は売上総利益から売るためにかかった費用を引くと出ます。この「売るためにかかった費用」っていうのは、例えば、人件費であるとか建物、宣伝、物づくりしている会社では機械など、売るためにはどうしてもかかってしまう費用のことです。これらは「販売費及び一般管理費」と呼ばれています。

●経常利益
 経常利益は、今度は営業利益から本業以外の利益や損失を足し引きすると出ます。本業以外っていうのは、銀行からお金を借りていたらその利息や、逆にお金を貸していたらその受け取る利息などです。有価証券を持っていて、配当金が出ればそれも本業ではないので含まれます。本業以外で受け取ったものは「営業外収益」支払ったものは「営業外費用」と言います。そのまんまですね。この利益は企業を判断するときにけっこう使われるみたいです。個人的な印象ですが、確かに内容的に一番企業の実態を表してそうな数値ですもんね。

●税引前当期純利益
 税引前当期純利益は、経常利益に特別利益と特別損失を足し引きして出します。この「特別〇〇」って言うのは、本当イメージ的に言ってしまうと、普通では起こらないことをした場合の利益や損失のことです。例をあげるとすれば、使っていた機械を売ったときや投資目的で保有していた有価証券を売った時などに出てきます。名前に特別ってかいてあるのでイメージはしやすいかもしれませんね。

●当期純利益
 これは、すごい簡単に書いてしまいますが、税引前当期純利益に税金を引いて出すものです。ただ、この税金計算をするのは厄介かもしれません。

 ざっと利益について書いてみました。ただ、ここで1つ注意をしなければならないのは業種や目的によって、計上するタイミングが変わるってことです。簡単な例をあげるとすれば、普通の企業ならば土地の売買ででた利益や損失は特別利益や特別損失になりますが、これが不動産業であれば本業になります。業種なども考えて財務諸表を見ることができれば良いかもしれませんね。検定レベルではそこまで考える必要はないかもしれませんが。

 ちなみに、今回は完全に私の頭の中から書いているので、参考文献などはありません。もっと深く勉強してみたい人は他のブログや本を読むといいかもしれませんね。

資産評価

今回は資産評価について書いていきます。ちなみに、資産評価は深くやれば大学の卒業論文あたりは書けるようなものですが、深くやりません。いろんな議論があると思いますが、ここで書いていくのは現行制度で規定されている「取得原価」と「時価」について簡単に書いていきます。

●取得原価
取得原価は、資産を取得した時点の金額で評価するものです。このように書くとちょっと難しく感じますが、簡単に言ってしまえば買った金額を使うってことです。 これについては、企業会計原則によって規定されていますね。
ちょっとしたイメージですが、例えばある資産を100万円で買ったとします。そして、5年後ぐらいにその資産の価値が値上がって200万円になったり、逆に値下がって50万円になったとします。しかし、この取得原価で評価するということは買った金額100万円で帳簿に計上するということになります。この考え方は、過去の事実に基づいた金額ということで歴史的原価(Historical Cost)と言ったりもします。
取得原価は、客観性や検証可能性が確保されるとともに、未実現利益の計上を排除できるという長所があるが、取得原価と時価が大きく異なってしまう恐れがあるなどの短所があります。

●時価(公正価値)
時価とは、言葉からなんとなく予想ができるとおもいますが、今の価値で評価するものです。ただ、時価といっても算定方法が1つではありません。だからめんどくさいのですが・・・。ちなみに、この時価を使うことは「金融商品に関する会計基準15項」に規定されています。詳しくは説明しませんが、参考までに時価にはどんなのがあるのか簡単に書いておこうと思います。

・取替原価(再調達原価):改めて市場で買った時の価格で、算定する方法
・純実現可能価格(正味売却価格):現在の売値から、付随費用を控除して算定する方法
・割引現在価値:将来キャッシュ・フローで割り引いて算定する方法

ざっと書くとこのようなものがあります。割引現在価値は良く分からないかもしれませんね

それでは、時価に関してもイメージというか例を見てみましょう。よく例としてあげられるのは「売買目的有価証券」です。簿記をやっていれば、「売買目的有価証券評価益」とか「売買目的有価証券評価損」とか書くのがめんどくさいと思った人は少なからずいるでしょう。私はそうでした。最終的には省略して書いてしまっていましたけどね。それはさておき、この期末に売買目的有価証券の評価を行っているが時価で評価していることになっています。また、固定資産の取得原価が時価と比べて著しく下落した場合には減損処理をしたりしますが、これも時価で評価したといえますね。
時価主義は、経済的実態に即した資産評価ができる長所がありますが、その評価について客観性に欠け、主観的な評価になってしまう可能性があるという短所があります。

資産の評価には、現行制度では2つの方法があり、このように2つ評価がある状態を「混合的測定」と呼ばれています。私自身やろうとはあまり思っていませんが、資産評価については調べてみると色々あるので、他の考察ブログや本を読むことをオススメします。大学の先生みたいなことを言ってしまいますが、できれば本の方が良いと思います。

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参考文献
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)
・桜井久勝著「財務会計論講義』(中央経済社)
・某大手通信教育中小企業診断士講座テキスト
・某大手専門学校会計士講座テキスト

流動資産と固定資産

今回は貸借対照表に関連する流動資産と固定資産について書いていきます。

資産は流動資産と固定資産の2つに区分されています。現金や売掛金など比較的動きが多いのが流動資産で土地や建物などが固定資産と区分されます。イメージでなんとなく分かるかもしれませんが、どのような基準で区分されているかを書いていきたいと思います。ちなみに、これに関しては企業会計原則注16に書いてあったと思います。

流動資産と固定資産に区分する際に2つの基準があります。それが「正常営業循環基準」と「1年基準」です。そして、流動資産か固定資産を判断するときは、「正常営業循環規準」→「1年基準」順で判断していきます。それでは、それぞれがどんなものか簡単に見て行きましょう。

●正常営業循環基準
正常営業循環基準というのは言葉で何となくイメージできるかもしれませんが、一応書いておきます。正常営業循環基準は商業で言えば「仕入れ→販売→代金回収→仕入れ」というような営業活動で一連の流れの中に入っているかどうかを判断する基準です。そして、この営業活動の一連の流れの中に入っていれば流動資産となります。
例えば、商品や売掛金、受取手形、現金などが考えられます。

●1年基準(ワン・イヤー・ルール)
1年基準は文字通り、1年を基準にその資産を現金化するかどうかによって、流動資産か固定資産かを判断する基準です。最初にちらっと書いたのですが、まず正常営業循環基準で基準に適合しているかを確認し、そして適合していなければこの1年基準で流動資産か固定資産かを判断します。ちなみに、そもそも現金化することを目的としてない場合は固定資産となります。
例えば、貸付金などは1年以内に返済される場合は流動資産になります。しかし、貸付金が1年以上先に返済される予定であれば、長期貸付金として固定資産という扱いになります。
また、有価証券もよくトピックスになったりしますね。有価証券は保有している目的によってちょっと変わってきます。例えば、売買目的で株式を保有しているなら流動資産。また、満期が1年以内の有価証券も流動資産となります。しかし、満期が1年以上先に満期が来る有価証券ならば固定資産、また、他企業を支配する目的で保有している有価証券も固定資産となります。
もちろん、建物や土地、備品などは販売する目的で保有しているわけではないので固定資産となりますね。

2つの基準を自分なりに説明するのであればこんな感じでしょうか。また、固定資産は3つに分けることができます。これについても簡単に触れておきます。

・有形固定資産→建物や土地、備品など実際に目に見える資産のことです。
・無形固定資産→特許権や借地権、のれんなど目には見えない資産のことです。
・投資その他の資産→長期貸付金や満期保有目的有価証券、関連会社株式など1年以上保有するものや支配目的の有価証券などのことです。

ちょっとだけ余談になってしまいますが、とくに1年基準は検定などの引っかけ問題になってたりします。私はこれでよく間違えていましたね。精算表の問題でそのまま固定資産で処理していたけど、実は1年以内になるから流動資産にしないといけなっかった。みたいな感じです。簿記検定とかやっていれば経験はあると思います。

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参考文献
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)

財務諸表の4表

今回は財務諸表の4表について簡単に書いていこうと思います。貸借対照表や損益計算書について書こうと思ったのですが、先に基本的な4表について書いておいて、それぞれについて書いていった方が個人的に分かりやすいと思ったからです。いや、内容について書いていくのが楽になると思ったからです。

タイトルに「財務諸表の4表」と書きましたが、いきなりこんなことを書かれても「何それ?」ってなると思います。財務諸表の4表は「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュフロー計算書」のことを言います。これらは、金融商品取引法によって作成が義務付けられています。また、会社法では、計算書類と表現されキャッシュフロー計算書を除く「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」の作成が義務付けられています。ちなみに、この金融商品取引法と会社法の違いは何かと言われれば、会社法はすべての企業が対象となり、金融商品取引法は主に上場企業が対象になるところが違いです。

それでは、財務諸表の4表についてそれぞれ簡単に見て行きましょう。深い内容はそれぞれの財務諸表について1つ1つ書いていこうと考えているのでその時に書いていきます。

●貸借対照表(B/S:Balance sheet)
貸借対象表は、一定の時点の財政状態を明らかにするために作成されるものです。大きく分けて資産・負債・純資産(自己資本)の3つで構成されています。本来なら定義などがありますが、今回は私の感覚的なイメージでそれぞれを書いていきたいと思います。
資産とは、企業が保有していて、それが金銭的に判断できる(貨幣的測定なんて表現されます)ものです。
負債とは、イメージ的にいえば借金でしょう。将来的に払わなければならないものです。
純資産とは、資産から資本を引いて、貨幣的考えると実質的に企業はこのくらいの資本を持っているでしょう。という感じです。ちなみに、この考え方は、資本主理論という考え方です。会計主体論のところで書いてありますが、負債と純資産の合計が資産と考える企業主体理論という考え方もあります。

●損益計算書(P/L:Profit & Loss Statement)
損益計算書は、一定期間の経営成績を明らかにするために作成されるものです。損益計算書は収益・費用・利益によって構成されています。損益計算書は単純に考えるとイメージしやすいですね。例えば、100円で物が売れた→売るために80円かかった→じゃ、利益20円だね。って感じです。損益計算書はこのようなことを一定期間やって、最終的にはこのくらいになりましたよっていう財務諸表です。

●株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書は、ものすごいざっくりと書いてしまいますが、「貸借対照表の純資産が規制緩和とかで複雑になったし、書くことが多くなったから動きが分かるように作ろうぜ」って感じです。これについても、ちゃんと書いていこうと思っているのでここではこのくらいにしておきます。

●キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書は、貸借対照表や損益計算書では把握できなかった資金の流れを表したものになります。貸借対照表や損益計算書上では良いのに倒産してしまう「黒字倒産」というものがあります。これは、利益があるにも関わらず資金がないため支払いができず倒産してしまうケースです。このようなこともあるので資金の流れをしっかり把握しようということで作成されます。
キャッシュ・フロー計算書は「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の3つの区分されています。詳しいことは、キャッシュ・フロー計算書について書くときに書きます。

財務諸表には、このように4つ大事なものがあります。今回は簡単に書いていきましたが、それぞれ1つずつ書いていこうと思いますが、簡単にイメージを作っておくことは意外と大事になると私は思っています。正直、それぞれを見て行くと意外と難しい内容となっています。なので、例えば貸借対照表について書くときも、一回に書かないで分けて書いていこうと考えています。まぁ、会計について勉強したことがある人は分かると思いますが・・・。

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参考文献
・某大手通信教育講座中小企業診断士テキスト
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)
・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<4>経営財務』(中央経済社)
・桜井勝久著「財務会計論講義』(中央経済社)

企業ドメインの基礎

経営学におけるドメインというと「事業ドメイン」と「企業ドメイン」があると思いますが、今回は「企業ドメイン」について書いていこうと思います。まぁ、突然「企業ドメイン」っていっても分からないと思うのでいつも通り、企業ドメインとはなにかを簡単に書いてから、中身に入っていきたいと思います。

企業ドメインを簡単にいうと、企業の事業領域を定義していくことであると言えます。その領域は、将来的な事業や戦略の領域を含めて考えるものになります。そして、企業ドメインを定めることによって、企業の指針というか方向性というか、そんなものを決めることができ、方向性をしっかりしたうえで今後の戦略とかを考えることができるようになります。

最初に簡単に書いみましたが、まぁ、よく分からないかもしれませんね。私も無知でこれを読んだら、「なんのこっちゃ」って思うと思います。と、いうことで中身に入っていきましょう。

まず、企業ドメインの意義について考えてみましょう。

企業のドメインを考えることは、その企業のコンセプトを決定し、さらにはどのような分野でやっていくことかを決定することになります。つまり、事業領域を決定することになりますね。これを決めることによって、例えば、企業が多角化をする時の判断材料にもなります。「可能ならば、いろんな多角化をしてリスクの分散をする方が良いのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。ドメインを明確にしないと企業は方向性を見失ってしまいます。そして、経営資源の配分やこれから蓄積していくべき経営資源が明確にならなくなる可能性があります。こうなってしまうと、せっかく持っている強みなどを活かせなくなってしまうかもしれません。ユニクロだって、野菜事業をやって失敗していますしね。こんなことも頭に入れながら、ドメインを定義する意義を私の持っている本では3つに分けて考えているので、ここでも3つに分けて考えてみましょう。

まず1つ目は、「組織が意思決定をする際の指針を与えることができる。」と、いうことです。企業ドメインを決めないで考えてしまうと意思決定する際に浅く広い考えで決定しかねません。多様な変化が起こっている世の中で、浅く広い情報での意思決定は少し危険な感じがしますよね。しかし、事業領域を限定しいればその事業領域に対して深い情報をを収集することができ、適切な判断ができる可能性が高くなります。また、事業を展開していく時の指針にもなります。もし、企業ドメインがなければ方向性を見失ってしまい、一貫性のある意思決定ができなくなってしまいます。

2つ目は、「企業の経営資源の配分や蓄積に指針を与えることできる。」と、いうことです。企業ドメインで事業領域を限定することで、これからどのような経営資源が必要であるかを明らかにすることができ、さらには、その企業の強みをさらに強化できるようになります。これは、企業ドメインを限定することでその企業の方向性にあった経営資源の蓄積ができ、同時に配分が可能となるからです。

そして3つ目は、「組織に一体感をつくることができる。」と、いうことです。組織は、特に多角化か進んでいる組織は同じ組織であっても別々の組織で働いているような感覚を持ちます。実際に私は、人事異動で部門を異動した時に、あたかも転職したような感覚を持ちました。そのぐらい、企業風土が違ったのです。このような場合に、企業ドメインを定義しておくと、部門ごとにやっていることは違うかもしれないけど、同じ目標に向かって仕事していると思わせることができます。そして、事業間の協力や範囲の経済の実現を可能にしていきます。

これが企業ドメインを定義する意義です。次に、企業ドメインを定義する際のアプローチについて考えてみます。ドメインを定義するアプローチには3つあげることができます。これも順番に書いていきます。

まず1つ目は、機能による定義です。これは、現在行っている事業などでとらえるものです。その行っている事業が市場や社会に対してどのような機能をもたらしているかを考えて定義していきます。この場合、将来のどのような展開をしていくかを考え、潜在的ものも考えて広く考えることができるため戦略的な観点からは望ましいといえます。
例えば、レビットが1960年にハーバード・ビジネスレビュー詩に掲載した論文で、アメリカの鉄道会社の事業ドメインを「鉄道事業」と定義してしまったため、他の輸送手段への多角化の機会を逃してしまい、衰退してしまったという主張はよく知られています。もし、もうちょっと広く企業ドメインを定義していれば、多角化が成功していたかもしれません。

2つ目は市場と技術や能力によって定義するものです。市場に対して持っている技術や能力を活かし将来の発展の方向性をドメインとするものです。このアプローチで企業ドメインを定義するのは、最近では、市場が成熟化し、顧客の多様なニーズがあることから難しくなってきてます。例をあげるのであれば、松下電器が一時期標榜していた「ヒューマン・エレクトロニクス」はその1つと言えるかもしれません。

そして3つ目は、顧客層、顧客機能、技術にの3つにより定義するものです。これにエーベルによって提示されたもので、現在のアプローチ方法として普及しているものですね。これは、だれに(顧客層)、何を(顧客層)、どのように(技術)に提供するかという感じで定義していきます。これにより、戦略的にドメインを設定できる感じがしますね。

企業ドメインについてざっと書きましたが、正直、事業ドメインを考えるのは容易ではありません。広く事業領域を定義してしまうと方向性を見失ってしまい、適切な経営資源の蓄積や配分ができなくなってしまったり、逆に狭すぎるとアメリカの鉄道会社みたいに機会を逃してしまうかもしれません。
アプローチ方法も3つ書いてみましたが、現在では基本的に3つ目を使うのが一般的みたいです。ですので、今回も「企業ドメインの基礎」というタイトルをつけてみました。たぶん調べてみると3つ目のが多く出てくると思うので、このブログ読んでから他の調べてみると良いかもしれませんね。

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参考文献
・某大手通信教育講座中小企業診断士テキスト
・綱倉久永・新宅純二郎著『経営戦略入門』(日本経済新聞出版社)
・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<2>マネジメント』(中央経済社)
・伊丹敬之・加護野忠男著『ゼミナール経営学入門』(日本経済新聞社)

ファヨール(管理過程論の基礎)

今回は経営管理論の父と言われているファヨールの管理過程論について書いていこうと思います。

そもそも、ファヨールって誰?と思うのでとりあえずファヨールについて簡単に書いておこうと思います。ファヨールは鉱山学校を卒業後、炭鉱会社のコマンボール社に入社しました。そして、鉱山技師、所長を経て社長に就任しました。ファヨールが社長に就任した時コマンボール社は倒産の危機に直面していていましたが、頑張って立て直しに成功しました。この時に、行き当たりばったりの管理よりも、理論的基盤に基づかせる必要さを痛感したそうです。ファヨールはこの経験を鉱山協会の50周年大会で訴え、この講演を書物にまとめられたのが、経営管理論の最初の書物と言われています。
ファヨールはこんな人です。個人的に、倒産の危機の時に社長になるとか嫌な時になったけど、現場上がりなのにちゃんと理論も駆使しながら立て直したってスゲー奴だなってのが最初の印象だった気がします。

私の個人的な感想はどうでも良いと思うので、中身について書いていきます。

ファヨールは、企業を有機的な組織体ととらえ、どんな企業でも不可欠な活動として次の6つの職能に分類しました。

1.技術活動(生産、製造、加工)
2.商業活動(購買、販売、交換)
3.財務活動(資本の調達と管理)
4.保全活動(財産と従業員の保護)
5.会計活動(財産目録、貸借対照表、原価、統制、等)
6.管理活動(計画化、組織、命令、調整、統制)

ファヨールは「管理」と「経営」を明確に区別し、「管理」はこの不可欠な活動の1つであり、「経営」はこの6つの活動の遂行を確保し、できるだけ多くの利益を確保するように企業を導くことであるとしています。この6つの活動にうち「管理活動」を除く5つはモノを対象としているのに対し、管理活動は人間や組織体を対象とするので、組織の上位階層になるほど、また、組織の規模が大きくなるほど重要性が増す特徴があります。

6つの活動のうち、管理活動については上位階層の任務の中でも大きな位置を占めるころもあり、諸要素として5つあります。上記の分類でも5つ書いてありますが、それについてちょっとだけ内容について書いていきます。

計画化:将来のことを考えて、活動計画を作成する。
組 織:企業における物的・社会的にな二重の構造を構成する。
命 令:従業員を機能させる。
調 整:活動と努力を統一させ、調和させる。
統 制:規準や命令に従って行われるように監視する。

ファヨールは、このような管理職能を遂行する能力は、学校教育でも取得可能であるにもかかわらず、行われてこなかったのは管理の教理をが欠いていることが原因であると考え、管理の理論の確立に踏み出しました。

ファヨールは、管理職能を遂行するために自らの経験を踏まえよく用いた管理の一般原則として、14の原則を提示しました。この14の原則についても簡単に内容に触れ列挙していこうと思います。

1.分業の原則:労働の専門化による能率向上や熟練形成の容易化。
2.権限ー責任の原則:公式的権限を補完する個人的権限と責任。
3.規律の原則:優れた管理者・明確な労使協約・適切な制裁による規律の確保。
4.命令の一元性の原則:1人の上司からのみ命令を受け取る。
5.指揮の一元性の原則:同一目標をもつ活動の指揮者と計画は1つだけである。
6.私的利益の公的利益への従属の原則:企業全体の利益の優先。
7.従業員の報酬の原則:公正で労働意欲を高める労働の対価。
8.集権化の原則:従業員の役割を増減させる分権化と集権化は程度の問題である。
9.階層組織の原則:命令一元性と迅速な伝達を確保するために架橋が用いられる。
10.秩序の原則:物的・社会的秩序のために適材適所をはかる。
11.公正の原則:従業員に対する好意と正義の結びつきにより公正が実現される。
12.従業員の安定の原則:従業員としての地位の安定と異動のバランス。
13.イニシアティブの原則:自ら計画・実行する創意を奨励し熱意・活動を引き出す。
14.従業員の団結の原則:命令一元性を守り、従業員の分裂や文書連絡の多用を廃し、団結を強化する。

ファヨールはこのように原則を提示しましたが、管理に関する問題に関しては、絶対的なものはなく、全て程度の問題であり、管理原則の適用に際しては知性、経験、決断力、節度が求められるとしています。

これらの管理原則は、必ずしも体系的・網羅的に提示されているわけではありませんが、管理の理論構築や実践のためのガイドラインとなりました。そして、ファヨールの考えは「管理過程論」として継承され発展していきます。

ファヨールについて簡単にかいていくとこんな感じになると思います。管理過程論はファヨールが始まりなだけであって、調べてみると色々なアプローチがあります。そんなこともあるので、タイトルを「管理過程論の基礎」にしてみました。

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参考文献
・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)
・某大手専門学校会計士テキスト

テイラーの科学的管理法の基礎

今回は科学的管理の父と言われたテイラーの科学的管理法について書いていきたいと思います。

 

 テイラーはミッドベール製鉄所にに雇われた時、工員達の怠業を見ました。その原因は単純出来高制等を採用していたものの、工員が精を出して働き一定水準以上の成果を出すと、経営者が一方的に賃率引き下げを行っていたからです。このように、経営者側に対抗して、組織ぐるみで行う怠業は組織的怠業と言います。工員は、賃率の引き下げを恐れてあえて働かなくなったのです。

 テイラーはこれに着目して、生産管理の方法が仕事量や作業量、道具などが過去の記録や工員などの勘によって場当たり的な判断を行う成行管理を廃止し、時間研究や動作研究により課業を科学的に決定することにしました。

 テイラーはそれを確立するために1.課業の明確な割り当て2.仕事の標準化、単純化、専門化3.成功に対する高賃金4.失敗による低賃金の4つの管理原則を提示しました。これに沿って達成度に応じた賃率を適用する差別的出来高制を考案し、組織的怠業を解決しようとしたのです。

 

 また、テイラーは組織改革も行いました。単に科学的に設定しただけでは、組織的怠業は解決しませんので課業管理を実施できる組織構造が必要になります。テイラーはこれについて、①計画部の設置②職能的職長制度③例外原理の3つを上げています。この3つについては簡単に説明を入れておこうと思います。

 

●計画部の設置

 時間研究や動作研究、課業の設定など分析的、計画的な仕事をこの部門に集中させました。そして、この計画部が作成した指図票に従って仕事をすることが工員たちには求められました。このように、管理機能を作業職能から分離したことはテイラーシステムの特徴と言えます。

 

●職能別職長制度

 今まで1人の職長が指示・命令などの管理機能を行う万能的職長制度から職長の仕事を職能ごとに分化した職能別職長制度を提唱しました。これにより、職長の仕事は軽減され職能ごとの職長の養成や確保は出来るようになりましたが、総合的に管理できる管理者の養成が難しくなってしまったため、あまり普及しませんでした。

 

●例外原理

 例外原理とは、簡単に言ってしまえば基本的なものや原則的なものは出来るだけ下位に権限を委譲して、例外的なものなどについてのみ上級管理者の決裁を仰ぐ方法です。これによって、上級管理者は本来の活動に集中出来るようになります。

 

 テイラーの考案した科学的管理法はこんな感じです。ちなみに、この科学的管理法は弁護士のブランダイスによって命名された見たいですね。このテイラーの管理法は課業を中心に考えているので課業管理とも呼ばれています。

 この管理方法はロボットのように指示通りの課業をこなすことが求められていると点から機械人モデルと言われています。機械人モデルは人間性の配慮に欠けていることを後々指摘されてしまいます。

 

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参考文献

・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<1>経営学の基本』(中央経済社)

・某大手専門学校会計士テキスト

・某大手通信教育中小企業診断士テキスト

先物取引の基礎(つめかえし取引)

前回のブログからだいぶ時間が経ってしまいましたが、今回は前回の続き的なもので先物取引について書いていきたいと思います。

先物取引とは「ある物(原資産)を将来のある日(期日・限月)にあらかじめ決められた価格(先物価格)で売る・買う約束」の事です。オプション取引と大きく異なる点は先物取引は権利ではなく義務ということでしたね。

○つめかえし取引

デリバティブの基礎について書いた時に「つめかえし取引」について解説すると書きました。その理由は先物取引を理解するには今の金融取引における先物取引を解説よりも堂島米会所で行われた「つめかえし取引」を理解した方が先物取引の本質を見る事ができると思うからです。

では、そもそもなぜつめかえし取引は生まれたのでしょうか。

当時の米は貨幣と同じ役割を持っており、重要な流通市場でした。市場が小さい時は米俵で取引をしていましたが、市場が大きくなるにつれて現物でのやり取りは大変になり、そこで「米手形」を発行することにしました。この米手形というのは「この米をいくらで交換できる」ということが記載され、証券としての性質をもっていました。

しかし、ここで1つ問題が起きました。価格の変動です。分かりやすいように現代風に書いてしまいますが、例えば、ある米を今日の相場で5キロ1,000円の米手形を買ったとします。しかし、実際に現物を取引する日の相場は5キロ800円でした。となると、200円損してしまいます。5キロ1,500円になれば得もしますが、もし、5キロ500円になればさらに損をしてしまいます。また、取引額が大きくなればなるほどさらに損失は膨らんでしまいます。

そこで、損をしないためにはどうすれば良いかと考え、編み出されたのが「つめかえし取引」です。

それでは、つめかえし取引とはどのようなものかを解説していきたいと思います。つめかえし取引は現物の取引がない契約取引です。内容としては、「米手形を今日の相場で売ったのと同時に、その米手形を米手形の取引日の相場で買い戻します。」というものです。言葉だけでは分かりづらいと思うので、実際に数値に当てはめてみましょう。前提条件として契約時の仕入価格が800円、市場価格が1,000円というケースで考えてみたいと思います。

・取引日の価格が1,500円の場合

まずは、取引日の価格が上がったケースで考えて行きます。下の図は実際の取引とつめかえし取引を行った場合について簡単に書いたものです。

実際の取引は800円で仕入れたものを取引日の1,500円で販売したので700円の利益があります。しかし、つめかえし取引の方を見てみると契約時の価格は1,000円なので1,000円は資金的には収入となりますが、取引日の価格で買い戻す契約をしているので1,500円の出費になってしまいます。そうなると、結果的に500円損をしてしまいます。せっかく700円の利益がでたのにつめかえし取引をやったことで利益が200となってしまいました。損をしないための仕組みが、実質的に500円の損を生んでしまっていることになります。

では、なぜこんな取引をするのか。次に取引日価格が500円に下がった場合について見ていきます。

・取引日の価格が500円の場合

先ほどは取引日の価格が上がった場合についてみました。次は取引日の価格が下がった場合について見ていきたいと思います。こちらも図を見ながら簡単に見ていきます。

取引日の価格が下がった場合、見て分かる通り300円の損をしてしまいます。しかし、つめかえし取引を見てみると、契約時に1,000円で売る約束をしているので1,000円の収入があります。取引日の価格で買い戻す契約をしていても500円の利益が生まれることになります。したがって、結果的にはさきほどと同じ200円の利益がでます。

2つのケースを見て分かるように、つめかえし取引は大きな利益がでない代わりに大きな損もしなくなることで安定した利益を生むことができるようになるわけです。

このように、先物取引はもともとリスクヘッジの仕組みとして出来たものだと考えられますね。江戸時代にこんな仕組みがあったというか、こんな仕組みを考えた昔の人ってすごいですよね。

ちょっと先物取引について歴史的な部分について書いてみましたが、最近では金融における先物のイメージの方が強いですよね。先物取引はリスクヘッジで損をしないための仕組みでしたが、先物取引で大きな損をしている人もいます。でもそれは金融における先物で投資として行っている場合です。

金融における先物は「先物とは、ある物を将来のある日にあらかじめ決められた価格で売る(買う)約束」という定義に加えて①取引所で行い、②反対売買することができ、③差金決済を行うもので、④証拠金を差し入れる必要があるものです。また、特徴として日々の値洗いをするというものもあります。日々の値洗いとは、簡単に行ってしまえば、毎日時価評価をして差益を確定するものです。そして、値洗いによって確定した損益は証拠金により差金決済されます。そして最終的には反対売買することで取引を終わらせることができ、利益を確定させることができます。

金融における先物は、このような仕組みになっているので先物取引の定義にプラスして4つの条件が必要になってくるわけです。

金融における先物取引は最後にざっと書いてしまいましたが、先物取引の根本は書いたつもりです。先物は久しぶりに触れた内容だったので改めて理解し直したって感じでしたね。もっと金融における先物についてやりたい人は、このブログを読んでから他の解説のサイトなどに行くと良いかもしれませんね。個人的には、ドットコモディディがオススメです。

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参考
大学の授業
ドットコモディディ
先物新報
日本ユニコム