売上原価の計上(払出原価)

前回は売上原価について記帳方法について書いてみました。

売上原価の計上(記帳方法)

今回はその金額について書いていこうと思います。これは企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」で公表されています。このような基準があるとちょっと難しく感じるかもしれませんけど、簡単に言ってしまえば、商品をいくらで払い出すかってことです。
商品を在庫していれば同じ商品でも仕入金額を異なることがありますし、例えば1個仕入れても10個仕入れても送料が同じだった場合でも仕入金額が変ってしまいます。そして、金額が異なる同じ商品を払い出す場合の単価を考えるのがここでの話です。

ここでは、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」6-2で棚卸資産の評価方法ってことで限定列挙されているので、その評価方法について1つずつ書いていきたいと思います。ちなみに、それぞれの「」の中は会計基準に記載されている文言です。

(1)個別法
「取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法」というものです。この方法は、名前の通り個別で管理していきます。比較的高価なものであるとか単価差が激しいものが対象と考えられ、宝石とは骨董品などに合理性があります。ただし、大量に生産されていたり販売しているものにはかなりの手間になってしまうので現実的ではありません。

(2)先入先出法
「最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法」というものです。この方法は、商品を売る場合の基本的な流れを想像して頂ければイメージしやすいと思います。普通に考えて商品を陳列する時は古いものを手前に出して新しいものを置くと思います。一般的に古くなると商品の価値は下がってしまいます。教えて貰わなくても感覚的に商品を陳列する時は新しいものを手前に並べることは普通やらないですもんね。この基本的な商品の動きにあっているのがこの先入先出方式です。簡単に動きのイメージを書いてみたいと思います。

ここでは取り扱いませんが、私が簿記を勉強していた時は「後入先出法」というものがありました。これは後に仕入れた商品を先に出すという方式です。良く分からないかもしれませんが、私が勉強をしたときのイメージとしては丸太とかを取り扱っている木材店で動かすのに大きな手間がかかるので、どんどん新しいものを在庫の上に置いてしまうため、後から仕入れた商品を先に出すしかない。って感じでイメージしていた気がしますが、今は認められていない処理なんで余談的な話ですね・・・。

(3)平均原価法
「取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法 なお、平均原価は、総平均法又は移動平均法によって算出する。」といことで、この方式は2つの方法があります。

・総平均法
総平均法は、1か月など期間を定めて期末に原価を算出する方法です。この方式では1回の計算で払出単価を算出するメリットはありますが、期末でないと売上原価が算定出来ないというデメリットがあります。こちらも簡単な動きのイメージを記載しておきます。

総平均法は期末にならないと払出単価が算定されないので、一時的に予定価格などを用いて払出しをします。そのため、期末に原価差額が発生し、これを売上原価や期末資産に配賦する必要があります。

・移動平均法
移動平均法は、仕入れの度に払出単価を計算していきます。これは総平均法とは違って払出単価の計算の手間がありますが、売上原価が確定しているので売上の際に売上原価を計上することが出来ます。こちらの流れも記載しておきます。ちなみに、端数があった方が分かりやすいと思ったので、小数点第2以下は四捨五入していますが、小数点以下を表示しています。

(4)売価還元法
「値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法。売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用される。」というものです。書いてある通り取り扱っている商品が多い百貨店などを想定しており、取り扱い商品が多いと売上原価を算出するには大量の事務作業が必要となるので、その負担軽減の目的で考案されたのがこの方式です。
このように書くとちょっと難しいですが、簡単に言ってしまえば、グルーピングしてそれに商品の売価に原価率を乗じて算定する方法です。ちなみに、原価率については「連続意見書第四」が規定するものと「法人税法」が規定するものがあります。参考までにですが計算式は以下の通りです。

以上の4つが現在認められている棚卸資産の評価方法です。この評価方法は「棚卸資産の評価方法は、事業の種類、棚卸資産の種類、その性質及びその使用方法等を考慮した区分ごとに選択し、継続して適用しなければならない。 」と規定されているように、1度採用すると継続して適用しなければなりません。なぜなら、例で示した動きのイメージを見て頂ければ分かるのですが出庫の単価が異なっています。出庫の金額は売上原価ですので、自由に変えることが出来ると利益操作が出来てしまうためです。

もっと勉強すると分かるのですが、払出原価の算定方法はほかにもあります。ただ、ここでは企業会計基準に記載されているもののみを取り上げて書いていますので、会計について勉強する人や興味がある方は調べてみると良いと思います。深くまで勉強しようと思ってない人は、この程度で良いかもしれませんね。

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参考文献
・桜井久勝著「財務会計講義」中央経済社
・改正企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準委員会ホームページ)

売上原価の計上(記帳方法)

今回は売上原価について書いていきたいと思います。そもそも売上原価って何かと聞かれれば、一言で言えば「売上の獲得に直接的に貢献した費用項目」となるでしょう。会計について勉強をしたことがある人は分かると思いますが、たぶん私のブログを読んでいる時点でそういう人は少ないと思います。
簡単な例をあげれば商品を仕入れて売っている場合はその仕入金額、商品を作っている場合はその商品を作るために掛かった費用とかそんなものです。

なお、ここでは商品を作っている場合は原価の算定方法を書いていく必要があると思いますので、単純に商品を仕入れて売る場合をイメージして書いていきたいと思います。まずは売上原価をどのように計上するかにあたって、簿記の話になってしまいますが、商品売買取引の記帳方法として4つの方法があるのでそれを簡単にですが書いていきたいと思います。

例として1,000円で仕入れたものを1,500円で販売したケースで考えてみます。

●分記法
分記法は商品を仕入れた際、その商品で記帳していきます。そして売上の際も商品自体を減らし、利益(商品販売益)とともに記帳していきます。この方法は個別に行っていくので販売の都度利益額を明らかにすることができ、決算整理仕訳を行わずに済みます。ただし、商品有高帳などのを細かく付けなければならず、多くの商品を扱っていたり、取引回数も多くなってくると現実的にこれを行える企業は限られてしまいます。
ちなみにこの処理の個人的に思うデメリットとして、帳簿を見ればすぐに利益が見ることができますが、売上を見ることができないと言うことです。計算すれば算出することはできますが、ちょっと分析とかしようと思ったときにめんどくさそうですね。

それでは、どのような仕訳を行うか簡単に記載しておきます。

参考までにですが、分記法での売上は下記のような式で出すことができます。

貸方商品勘定(売上原価)+ 商品販売益 = 売上

これは完全に私見になってしますが、昔は100点の商品があったらすべての商品有高帳を作って管理しなければならなかったので現実的ではなかったかもしれませんが、ITが発展している今の時代であれば商品ごとにPOS管理をして、システム上で商品有高帳を自動で作成すれば可能ではあるような気がします。

●売上原価対立法
分記法のデメリットで売上が見えないっていうのがありました。そこで、この分記法の考え方に近くて売上がみえる考え方で売上原価対立法というものがあります。その仕訳は下記のようになります。これであれば、売上と売上原価を見ることができますね。

このようにすれば、売上と売上原価みえるうえ、ちょっと難しい話になってしまいますが、発生主義会計の基本原則に合致した処理方法と言えます。

●三分割法
三分割法は、商品の取引を「繰越勘定」「仕入勘定」「売上勘定」を3つに分けて記帳していきます。この方式は簿記検定等を勉強する時にメインで勉強するものでしょう。三分割法は決算時に決算整理仕訳を行って売上原価を算出します。分記法はその都度売上原価を出しますが、この方法は基本的に期末に一括して計上します。簿記検定等を勉強した人は決算整理仕訳の時に「しーくりくりし」なんて覚えたと思います。これも仕訳を記載しますが、たぶん勉強する時は掛取引になると思うので、ここでも掛取引で書いていこうと思います。

仕訳は上記のようになりますが、ここから売上原価を算出するには下記の式で行います。

期首繰越商品+仕入高-期末商品棚卸高=売上原価

この式に当てはめると、3,000円(期首商品)+1,000円(仕入高)-3,000円(期末商品)=1,000円(売上原価)

となります。

●総記法
個人的にあまり馴染みのない記帳方法ですね。ここは詳しく書ける自信がないので参考程度に書いておきます。基本的な考え方は分記法と近いと思いますが、販売した際の処理が異なります。総記法の場合、分記法で「商品」と「商品販売益」を分けて処理しますが、これを商品勘定でまとめて貸方に書くというものです。なぜそんな処理するかは・・・正直分かりません。ただ、一応仕訳を記載しておきます。

特徴としては、決算時に商品勘定の差額が商品販売益となることでしょうか。簡単に仕訳を書くとこんな感じになるというのは分かりますが、レベル的には日商簿記検定1級の範囲なのでちょっと難しいです。私自身、検定で総記法が出てきたらたぶん解けないと思いますので詳しい説明は省略させて頂きます。

これらが売上原価を考える際に最低限必要な簿記の知識かもしれませんね。このブログでは簿記と会計を分けて考えているので、簿記検定の問題を解く知識としては足りないと思います。ただ、売上原価について考えるためには必要最低限の知識だと思って今回は書いてみました。

今回は売上原価を学ぶ上でどのように記帳しているかを中心に書いてみました。次回は払出単価と言ったりしますが、その金額について書いていこうと思っています。

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参考文献
・桜井久勝著「財務会計講義」中央経済社
・某大手専門学校日商簿記検定テキスト

会計上の有価証券

流動資産について書いたときに、当座資産のところで有価証券について少し触れました。

流動資産について

「流動資産について」の参考文献を読んでいるときに、私の理解能力が乏しいだけかもしれませんが、有価証券って意外とややこしいものではないかと感じたので今回は有価証券について会計的な視点で書いていこうと思います。ちなみに、ここでは資産としての有価証券ですので取得した場合です。発行となるとまた別の話になってしまうので。

まず、有価証券の定義についてですが金融商品取引法第2条1項に列挙されています。本当は列挙しようと思いましたが、ちょっとめんどくさいので金融取引法第2条1項を見てください。

金融取引法第2条1項

先ほども書きましたが、ここでは主として株式と公社債(国債や地方債などの公共債と民間の社債の合わせた総称)を取得する場合について扱って書いていきます。まず会社法の範囲になってしまいますが、株式と社債について定義を見てみますと下記のようになります。

・株式
株式とは、「株式会社における出資者である社員すなわち株主の地位を細分化して割合的地位の形にしたものである。」(神田秀樹「法律学講座双書 会社法」弘文堂)と定義しています。ちなみに、この地位のことを「社員」と言いますが、会社員も「社員」と言ったりします。この2つは全くもって別物になりますね。株主の地位を細分化して割合を地位的に形にするのは、多数の者が株式会社に参加できるようにするための法的な技術になります。これによって株主の権利行使や配当の支払を容易にします。ちなみに、株式を買うことは「出資」と言います。
企業ではこの株式を支配目的と利殖目的で取得します。

・社債
社債とは、「通常は、公衆に対する起債によって生じた会社に対する多数に分割された債権であって、それについて通常有価証券(社債券)が発行されるものをいう」(神田秀樹「法律学講座双書 会社法」弘文堂)とあり会社法では「この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、676条各号に掲げる事項(募集事項)についての定めに従い償還されるものをいう」と定義してあります。
このように書くと難しく感じますが国債や地方債と同じように、発行された債券を不特定多数の人が購入し期日が来たら購入した人たちに利息をつけて返します。っていうものですので、発行者側からすると株式と違って債務、簡単に言ってしまえば借金になります。

一応2つの定義を書きましたが、この2つの違いは発行者側の視点の方が分かりやすと思います。同じ資金調達の方法ですが、社債は借金ですが株式は借金ではなく簡単に言ってしまえば「お金を出すから、儲かったら頂戴ね」って感じだと思います。ちなみに株式会社についてはちょっと視点がズレているかもしれませんがブログで書いています。

株式会社について

さて、ここからが本題になっていきます。

このような株式や債券(公共債、社債など)を購入すると有価証券という扱いになります。有価証券は所有目的によって扱いが変わったりしますし、保有する期間によっても変わってきます。会計上は4つに分類されますので、それぞれについて書いていきます。

1.売買目的有価証券
売買目的有価証券は、市場の価格変動によって利益を出そうする目的で保有している有価証券になります。この有価証券はいつでも換金することができるので決算などの際は、時価をもって貸借対照表価額とします。ちなみに、購入時の金額や前回の評価額の差額は「有価証券運用損益」として処理をし、この中には有価証券の売却によってできた差額も含まれます。
なお、この差額がでた有価証券のその後の扱い方として洗替方と切放方の2つがあります。売買目的有価証券の場合、切放法の方が適してますが、洗替法の処理も認められています。参考までにこの2つは下記のようなものになります。

・洗替法・・・前期末に計上した差額を期首に戻し入れ、いったん帳簿価額に復元して、新たな時価と比較する。
・切放法・・・前期末に計上した差額を期首に戻し入れることなく、そのまま帳簿価額とする。

2.満期保有目的の債券
満期保有目的の債券は満期まで所有する意思を持った債券であり、利息をを得る目的で保有します。また、満期保有目的の債券については1年基準(ワンイヤールール)が適用されますので、満期日が1年以上あるときは固定資産に分類され「投資有価証券」となり、1年未満のものについては流動資産に分類され「有価証券」となります。この時に受け取った利息については「有価証券利息」として計上します。ちなみに、満期保有目的の債券は基本的に時価は関係ないので原価で計上しますが、「やっぱり売買目的にしたい!」と思ったときは、売買目的有価証券となりますので貸借対照表価額は時価にする必要が出てきます。

3.子会社・関連会社の株式
子会社株式と関連会社株式は、親会社がこれらの企業を支配する目的で保有している株式なので自由に処分わけにはいきません。ですので、実質的な性質は事業用資産と考えられ、この株式は原価で評価し固定資産の関係会社株式になります。ちなみに、株式の持分割合は5割以上であれば子会社、2割以上であれば関連会社となるようですが、他にも基準があって判断するみたいです。ただし、株式の10割を持っている場合は完全子会社になります。

4.その他有価証券
その他有価証券とは、1から3までに説明したもの以外のものを言います。一番ざっくりしてますね。このその他有価証券でよく出る例が複数の会社が良好な関係を維持しようとしたり、事業上の関係を強めようとする目的でお互いに株式を持ち合う「持ち合い株式」があります。
この「その他有価証券」は原則的には原価によって評価し、固定資産の投資有価証券になります。

以上が、会計上で良く取り扱われる有価証券の基本的な内容だと思います。たぶん、もうちょっと突っ込める内容があるかもしれませんが、ちょっと難しくなってきそうだったので今回はここまでの内容としました。

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参考文献
・神田秀樹著「法律学講座双書 会社法 第十二版」弘文堂
・片山覚 他「入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス」実教出版
・飯野利夫著「財務会計論」同文館
桜井久勝著「財務会計講義」中央経済社

流動資産について

今回は流動資産について書いていきたいと思います。ちなみに流動資産と固定資産の違いについては別に書いてあります。

流動資産と固定資産

まず、流動資産については当座資産、棚卸資産、その他の流動資産の3つに分類されることがあるので分類ごとに書いていこうと思います。

1.当座資産
当座資産は、イメージ的に言えば短期的に支払いに使用できる資産になると思います。具体的に言えば、現金預金・受取手形・短期貸付金・有価証券になります。せっかくなので簡単にですが1つ1つ書いていきたいと思います。

・現金預金
まず、通貨についてはもちろん現金に入ります。ただ、通貨以外にも小切手、期限の到来した公社債の利札、株式の配当金領収書などがあります。これらは「通貨代用証券」と言ったりします。そして、預金については銀行の預金や郵便貯金、金銭信託などがありますが、長期の預金は現金預金ではなく「投資その他の資産」になります。

・受取手形
受取手形は商品を販売したとき、現金の代わりに渡し、期日が到来(満期日)した際に現金化する手形債権になります。また、手形は満期日前に銀行に持って行き、割引料を払えば現金化することもできます。これを手形割引といいます。さらには、仕入の際に手形の裏面に署名をすれば支払いにも使用できます。これを裏書譲渡と言います。

・短期貸付金
短期貸付金は1年未満の貸付金になります。ちなみに、1年基準があるので1年以上の貸付金については流動資産になりません。

・有価証券
有価証券は株式、社債、国債などのことを言ったりします。具体的に何かを知りたい方は金融商品取引法2条1項を見てください。
株式は売買目的で保有する株式が流動資産になります。売買目的は株式の値上がりを期待して保有し、短期的に売買を行う目的で保有している株式になります。株式には関係会社や子会社の株式を保有する場合もありますが、もちろんそれは流動資産にはなりません。
次に社債や国債については満期日によって変わってきます。基本的には利息を得るために保有しているものになります。これも1年基準がありますので、満期日が1年未満であれば流動資産になりますが、1年以上であれば固定資産になります。

2.棚卸資産
棚卸資産を具体的に書くと下記の4つのいずれかに該当するものになります。

(イ) 通常の営業過程において販売するために保有する財貨又は用役
(ロ) 販売を目的として現に製造中の財貨又は用役
(ハ) 販売目的の財貨又は用役を生産するために短期間に消費されるべき財貨
(ニ) 販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨

これは「連続意見書第四・第一・七」に書いてあります。

すごい簡単に言ってしまうと、売上に直接結びつく資産になります。棚卸資産は1年を超えても流動資産になり、例外的に固定資産にはなりません。
これに関して良くある話をすれば、一般の会社であれば「建物」とか「土地」、「車」などは基本的に固定資産に分類されます。ただ、不動産業を行っている会社では売るための「建物」や「土地」は棚卸資産となるため、固定資産に分類されません。また、カーディーラーや中古車販売会社にとって「車」は商品ですの固定資産にはなりません。もちろん自社で利用するものは固定資産になりますけどね。

3.その他の流動資産
その他の流動資産については前払費用や未収収益、立替金などがあります。これについても1年基準が適応されますので、1年以下のものについては流動資産になり、1年以上のものは固定資産に分類されることになります。

今回は流動資産について簡単に書いてみました。有価証券や棚卸資産についてはそれだけをテーマにして書ける内容なのでいずれ書いていきたいと思います。

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参考文献
・桜井勝久 財務会計講義 中央経済社
・片山 覚他 入門会計学 実教出版
・飯野利夫 財務会計論(三訂版)同文館

会計とは(私見含む)

僕は大学で会計を専攻し卒業しました。ただ、僕には当たり前の「会計」って言葉だけど、そもそも会計って何?と言われてしまうと上手く説明できる自信がありません。ブログでは会計についてポイントを絞って書いていたりしますが、ここで改めて「会計とは何ぞや」ってことを個人的な考えも含めながら書いていきたいと思います。

1.定義
これは私が大学で習った定義になりますが、「会計は、ある特定の経済主体の経済活動を、貨幣額などを用いて計数的に測定し、その結果を報告書にまとめて利害関係者に伝達するシステムである。」(桜井久勝 財務会計講義第12版)というものになります。ちなみに、この本は大学のゼミの最初の本だったので私の財務会計論のベースはこの本になっているかもしれませんね。
さて、この定義から分かるように会計の条件は以下の2点の条件を満たすものなのかなって感じになります。

・経済主体の経済的活動を計数的に測定
・利害関係者へ報告する

昔も今も財産の一部でも任せた人から報告をしてもらうのに必要なのが会計だと私は思っています。西ローマ帝国の貴族と奴隷、中世イギリスの荘園における領主と執事との間に行われた会計責任を明らかにするために代理人会計と呼ばれるものがあったみたいなので。
そうすると、会計は何かと簡単にまとめてしまうと、利害関係者へ報告するシステムの1ついうことが出来ると私は考えています。

2.会計の領域
会計の領域については、定義の中の「経済主体」の話になるのかなって感じです。
まず、利益を追求するかどうかによって「営利会計」と「非営利会計」に分けることができます。営利会計は、商店や会社のことで一般的に企業と呼ばれてるものが対象となっており、企業会計と呼んでいます。ちなみに、このブログではこの「企業会計」がメインとなっていくと思います。他方、非営利会計は家計や行政(公会計)、非営利法人(非営利法人会計)などが対象となる会計です。

さらに、企業会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに分けることが出来ます。この2つの内容を書いていくと長くなりそうなので、ここではざっくりと「財務会計→外部報告用」で「管理会計→内部報告用」というイメージで考えて頂けたらと思います。

この内容は前にもブログで書いていましたので参考までに・・・「会計の領域

3.財務会計の情報提供機能
財務会計の情報提供機能って書きましたが、書きたいことは「誰のために、そして何のための会計なのか」ってことです。定義の中では「利害関係者」に関わってくる話ですね。ここについては、私見がだいぶ入っていると思います。

このブログの最初に書いた貴族と奴隷の関係や領主と執事の関係、現代で考えれば経営者と株主の関係であれば会計責任を明らかにするために必要であることは分かります。ちなみに、このような関係を「エージェンシー関係」と言います。

では、自己資金でお金も借りることもなく会社を立ち上げました。仮に税金もなかった場合は会計が必要かどうかと言われればどうでしょうか。利害関係者はいないし、必要はないのでは考えることが出来ると思います。しかし、商売する人は馬鹿ではありません。例えば、単純に売買をして稼ぐと考えた場合、仕入の金額よりも高い値段で売るのが普通です。この時に、メモレベルで行っていたとしても利益を計算し経営者はそれでいくら稼いだかを把握します。この時点で経営者が利害関係者となり、分かりやすいので法律の言葉を借りて例えるのであれば、法人と経営者の関係で会計の定義を満たすことになると思います。
※この段落の考え方は、完全に私見ですので鵜呑みにしないように注意してください。

上記ように考えた場合、1つ目は「経営者のために、利益を計算するために行う会計」と考えています。

2つ目は「株主のために、状況と配当可能利益を明らかにするための会計」と考えています。
これは分かりやすいと思いますが、典型的な「エージェンシー関係」が成立しています。株主が会社を所有し、経営については経営者に委託しています。そのための報告責任があります。

3つ目は「債権者のために、状況明らかにするための会計」
お金を貸した人(債権者)に対して、現在の状況を明らかにする必要があります。債権者はその資金を回収できるか追加投資をしても良いかどうかは関心どころです。その1つの重要な資料が会計資料となります。イメージでいえば、銀行と考えて頂ければ分かりやすいでしょう。

4つ目は「行政機関のために、納税をするための会計」
行政機関のためにというのは、適正な納税計算のために行うものです。

主な利害関係者は以上4つではないかなって考えています。もちろん、会計情報の利用者は取引先とか従業員とか他にいます。
日本では、4つのうち3つの会計について法律も絡んでくるので主な利害関係者としました。(参考:法律と会計

ちなみに、株主については金融商品取引法、債権者については会社法(商法、民法も関わってきます。)、行政機関については税法です。

以上のように、定義をもとに私なりに会計とは何かについて改めて考えて書いてみました。完全に概念の部分になってしまうのでこれを読んでもって感じはありますが、定義を理解しようとするのは大事だと思うし、少し学び直してみようと思っているので書いてみました。

1度投稿してから気付いたんですが、過去のを見ていたら「会計とは」って内容で書いていました。2012年のブログなので大学生の時に書いた内容ですね。
読み比べてみたら同じ定義について書いているにも関わらず別の視点で書いていてちょっと面白かったので良かったら読み比べてみて下さい。

会計とは

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参考文献

・桜井勝久 財務会計講義 中央経済社・片山 覚他 入門会計学 実教出版
・飯野利夫 財務会計論(三訂版)同文館

リース会計の基礎(リース取引の分類)

今回はリース取引について書いてみようと思います。会計基準を開いてみると「リース取引とは、特定の物件の所有者たる貸手(レッサー)が、当該物件の借手(レッシー)に対し、合意された期間(リース期間)にわたりこれを使用収益をする権利を与え、借手は、合意された使用料(リース料)を貸手に支払う取引をいう。」となんだか小難しく書いてありますが、簡単に言えば「貸手」はモノを貸すことによって利益を出して、「借手」てはその使用料を払うって感じです。

このリース取引には2つの分類に分けられています。ファイナンス・リースとオペレーティング・リースというものです。違いは一定の条件に当てはまるものをファイナンス・リースと言い、その他の取引をオペレーティング・リースに分類されています。本とか読んで、その他のってざっくりしてるなって思っていましたけど、実際の会計基準を読んでみると、そこに「『オペレーティング・リース取引』とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいう。」と書いてありました。だから本にもそう書いてあるんだなって思いましたね。

それでは、ファイナンスリースの一定の条件の中身を書いて行こうと思います。ファイナンスリースの以下のような条件があります。

・リース契約の途中契約できない取引(解約不能の条件)
・リースするモノの経済的利益と使用コストが実質的に借手側に帰属するもの(フルペイアウトの条件)

この2つの条件に当てはまるリース取引をファイナンス・リースと言います。さらにファイナンス・リース取引は契約の条件によってさらに2つ分類されます。その契約条件は以下の3つになります。

・契約期間の途中もしくは終了時にリース物件の法的所有権が借手に移転する旨が契約に明示されている場合(所有権移転条項付リース)
・割安購入権がついている場合(割安購入選択権条項付リース)
・他の借手に転用ができない場合(特別仕様のリース物件)

このどれかに当てはまる場合は「所有権移転ファイナンス・リース」と分類され、当てはまらない場合は「所有権移転外ファイナンス・リース」となります。補足的なことを書くのであれば、「所有権移転外ファイナンス・リース」は解約不能の条件とフルペイアウトの条件を満たし、なおかつリース料の総額が割引現在価値でそのモノを購入した場合の約90%以上を占める場合やリース期間が経済的耐用年数の約75%を占める場合などです。

最後に、なぜファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分けているかをちょっとだけ考えてみたいと思います。

リース取引は法的には賃貸借取引としてモノを貸すことによって経済的便益を借手に提供しており、借手はその経済的便益に対しての費用を貸手に支払うことになっています。しかし、ファイナンス・リースでは条件的にそのモノを長期的に割賦購入していると考えます。ちょっと難しい話にはなってしまいますが、リース取引では実質優先主義をとっていますので、法的形式なものよりも経済的実質を重視する「実質優先の原則」からすれば、ファイナンス・リース取引は事実上、売買取引として処理しなくてはならなくなります。したがって、固定資産という扱いでリース資産を借方に計上し、その代金の支払いというイメージになりますので債務としてリース債務が貸方に計上されることになります。
このように考えると、オペレーティング・リースのなぜ賃貸借取引として扱われるかがイメージできると思います。

リース会計をちょっと考えるときは、基礎知識としてこんな分類があるのかなって知っていると分かりやすいかもしれませんね。

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参考文献
・某専門学校公認会計士試験用テキスト
・桜井久勝著「財務会計講義』(中央経済社)

損益計算書の利益

 今回は久しぶりの更新ってことで、今まで貸借対照表について書いてきましたが、ちょっと損益計算書の方について書いていこうと思います。完全に気まぐれですが・・・。そして、今回書こうと思っているのが利益についてです。損益計算書の利益には、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」と色んな利益があって、覚えてしまえば分かるんですが、勉強したてとか久しぶりに聞くとちょっと戸惑うものですよね。いや、自分だけかもしれませんが。そんなこともあって、ちょっと利益について自分なりの解釈というか自分なりのイメージでちょっと書いていきたいと思います。

●売上総利益
 売上総利益は売上から売上原価を引いた利益です。商品を仕入れて売っている人は、商品の売上から仕入を引いた利益のことで、製造業では売上から作った商品の原価を引けば出ます。会計用語ではありませんが、粗(荒)利益なんて呼ばれ方もします。

●営業利益
 営業利益は売上総利益から売るためにかかった費用を引くと出ます。この「売るためにかかった費用」っていうのは、例えば、人件費であるとか建物、宣伝、物づくりしている会社では機械など、売るためにはどうしてもかかってしまう費用のことです。これらは「販売費及び一般管理費」と呼ばれています。

●経常利益
 経常利益は、今度は営業利益から本業以外の利益や損失を足し引きすると出ます。本業以外っていうのは、銀行からお金を借りていたらその利息や、逆にお金を貸していたらその受け取る利息などです。有価証券を持っていて、配当金が出ればそれも本業ではないので含まれます。本業以外で受け取ったものは「営業外収益」支払ったものは「営業外費用」と言います。そのまんまですね。この利益は企業を判断するときにけっこう使われるみたいです。個人的な印象ですが、確かに内容的に一番企業の実態を表してそうな数値ですもんね。

●税引前当期純利益
 税引前当期純利益は、経常利益に特別利益と特別損失を足し引きして出します。この「特別〇〇」って言うのは、本当イメージ的に言ってしまうと、普通では起こらないことをした場合の利益や損失のことです。例をあげるとすれば、使っていた機械を売ったときや投資目的で保有していた有価証券を売った時などに出てきます。名前に特別ってかいてあるのでイメージはしやすいかもしれませんね。

●当期純利益
 これは、すごい簡単に書いてしまいますが、税引前当期純利益に税金を引いて出すものです。ただ、この税金計算をするのは厄介かもしれません。

 ざっと利益について書いてみました。ただ、ここで1つ注意をしなければならないのは業種や目的によって、計上するタイミングが変わるってことです。簡単な例をあげるとすれば、普通の企業ならば土地の売買ででた利益や損失は特別利益や特別損失になりますが、これが不動産業であれば本業になります。業種なども考えて財務諸表を見ることができれば良いかもしれませんね。検定レベルではそこまで考える必要はないかもしれませんが。

 ちなみに、今回は完全に私の頭の中から書いているので、参考文献などはありません。もっと深く勉強してみたい人は他のブログや本を読むといいかもしれませんね。

資産評価

今回は資産評価について書いていきます。ちなみに、資産評価は深くやれば大学の卒業論文あたりは書けるようなものですが、深くやりません。いろんな議論があると思いますが、ここで書いていくのは現行制度で規定されている「取得原価」と「時価」について簡単に書いていきます。

●取得原価
取得原価は、資産を取得した時点の金額で評価するものです。このように書くとちょっと難しく感じますが、簡単に言ってしまえば買った金額を使うってことです。 これについては、企業会計原則によって規定されていますね。
ちょっとしたイメージですが、例えばある資産を100万円で買ったとします。そして、5年後ぐらいにその資産の価値が値上がって200万円になったり、逆に値下がって50万円になったとします。しかし、この取得原価で評価するということは買った金額100万円で帳簿に計上するということになります。この考え方は、過去の事実に基づいた金額ということで歴史的原価(Historical Cost)と言ったりもします。
取得原価は、客観性や検証可能性が確保されるとともに、未実現利益の計上を排除できるという長所があるが、取得原価と時価が大きく異なってしまう恐れがあるなどの短所があります。

●時価(公正価値)
時価とは、言葉からなんとなく予想ができるとおもいますが、今の価値で評価するものです。ただ、時価といっても算定方法が1つではありません。だからめんどくさいのですが・・・。ちなみに、この時価を使うことは「金融商品に関する会計基準15項」に規定されています。詳しくは説明しませんが、参考までに時価にはどんなのがあるのか簡単に書いておこうと思います。

・取替原価(再調達原価):改めて市場で買った時の価格で、算定する方法
・純実現可能価格(正味売却価格):現在の売値から、付随費用を控除して算定する方法
・割引現在価値:将来キャッシュ・フローで割り引いて算定する方法

ざっと書くとこのようなものがあります。割引現在価値は良く分からないかもしれませんね

それでは、時価に関してもイメージというか例を見てみましょう。よく例としてあげられるのは「売買目的有価証券」です。簿記をやっていれば、「売買目的有価証券評価益」とか「売買目的有価証券評価損」とか書くのがめんどくさいと思った人は少なからずいるでしょう。私はそうでした。最終的には省略して書いてしまっていましたけどね。それはさておき、この期末に売買目的有価証券の評価を行っているが時価で評価していることになっています。また、固定資産の取得原価が時価と比べて著しく下落した場合には減損処理をしたりしますが、これも時価で評価したといえますね。
時価主義は、経済的実態に即した資産評価ができる長所がありますが、その評価について客観性に欠け、主観的な評価になってしまう可能性があるという短所があります。

資産の評価には、現行制度では2つの方法があり、このように2つ評価がある状態を「混合的測定」と呼ばれています。私自身やろうとはあまり思っていませんが、資産評価については調べてみると色々あるので、他の考察ブログや本を読むことをオススメします。大学の先生みたいなことを言ってしまいますが、できれば本の方が良いと思います。

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参考文献
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)
・桜井久勝著「財務会計論講義』(中央経済社)
・某大手通信教育中小企業診断士講座テキスト
・某大手専門学校会計士講座テキスト

流動資産と固定資産

今回は貸借対照表に関連する流動資産と固定資産について書いていきます。

資産は流動資産と固定資産の2つに区分されています。現金や売掛金など比較的動きが多いのが流動資産で土地や建物などが固定資産と区分されます。イメージでなんとなく分かるかもしれませんが、どのような基準で区分されているかを書いていきたいと思います。ちなみに、これに関しては企業会計原則注16に書いてあったと思います。

流動資産と固定資産に区分する際に2つの基準があります。それが「正常営業循環基準」と「1年基準」です。そして、流動資産か固定資産を判断するときは、「正常営業循環規準」→「1年基準」順で判断していきます。それでは、それぞれがどんなものか簡単に見て行きましょう。

●正常営業循環基準
正常営業循環基準というのは言葉で何となくイメージできるかもしれませんが、一応書いておきます。正常営業循環基準は商業で言えば「仕入れ→販売→代金回収→仕入れ」というような営業活動で一連の流れの中に入っているかどうかを判断する基準です。そして、この営業活動の一連の流れの中に入っていれば流動資産となります。
例えば、商品や売掛金、受取手形、現金などが考えられます。

●1年基準(ワン・イヤー・ルール)
1年基準は文字通り、1年を基準にその資産を現金化するかどうかによって、流動資産か固定資産かを判断する基準です。最初にちらっと書いたのですが、まず正常営業循環基準で基準に適合しているかを確認し、そして適合していなければこの1年基準で流動資産か固定資産かを判断します。ちなみに、そもそも現金化することを目的としてない場合は固定資産となります。
例えば、貸付金などは1年以内に返済される場合は流動資産になります。しかし、貸付金が1年以上先に返済される予定であれば、長期貸付金として固定資産という扱いになります。
また、有価証券もよくトピックスになったりしますね。有価証券は保有している目的によってちょっと変わってきます。例えば、売買目的で株式を保有しているなら流動資産。また、満期が1年以内の有価証券も流動資産となります。しかし、満期が1年以上先に満期が来る有価証券ならば固定資産、また、他企業を支配する目的で保有している有価証券も固定資産となります。
もちろん、建物や土地、備品などは販売する目的で保有しているわけではないので固定資産となりますね。

2つの基準を自分なりに説明するのであればこんな感じでしょうか。また、固定資産は3つに分けることができます。これについても簡単に触れておきます。

・有形固定資産→建物や土地、備品など実際に目に見える資産のことです。
・無形固定資産→特許権や借地権、のれんなど目には見えない資産のことです。
・投資その他の資産→長期貸付金や満期保有目的有価証券、関連会社株式など1年以上保有するものや支配目的の有価証券などのことです。

ちょっとだけ余談になってしまいますが、とくに1年基準は検定などの引っかけ問題になってたりします。私はこれでよく間違えていましたね。精算表の問題でそのまま固定資産で処理していたけど、実は1年以内になるから流動資産にしないといけなっかった。みたいな感じです。簿記検定とかやっていれば経験はあると思います。

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参考文献
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)

財務諸表の4表

今回は財務諸表の4表について簡単に書いていこうと思います。貸借対照表や損益計算書について書こうと思ったのですが、先に基本的な4表について書いておいて、それぞれについて書いていった方が個人的に分かりやすいと思ったからです。いや、内容について書いていくのが楽になると思ったからです。

タイトルに「財務諸表の4表」と書きましたが、いきなりこんなことを書かれても「何それ?」ってなると思います。財務諸表の4表は「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュフロー計算書」のことを言います。これらは、金融商品取引法によって作成が義務付けられています。また、会社法では、計算書類と表現されキャッシュフロー計算書を除く「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」の作成が義務付けられています。ちなみに、この金融商品取引法と会社法の違いは何かと言われれば、会社法はすべての企業が対象となり、金融商品取引法は主に上場企業が対象になるところが違いです。

それでは、財務諸表の4表についてそれぞれ簡単に見て行きましょう。深い内容はそれぞれの財務諸表について1つ1つ書いていこうと考えているのでその時に書いていきます。

●貸借対照表(B/S:Balance sheet)
貸借対象表は、一定の時点の財政状態を明らかにするために作成されるものです。大きく分けて資産・負債・純資産(自己資本)の3つで構成されています。本来なら定義などがありますが、今回は私の感覚的なイメージでそれぞれを書いていきたいと思います。
資産とは、企業が保有していて、それが金銭的に判断できる(貨幣的測定なんて表現されます)ものです。
負債とは、イメージ的にいえば借金でしょう。将来的に払わなければならないものです。
純資産とは、資産から資本を引いて、貨幣的考えると実質的に企業はこのくらいの資本を持っているでしょう。という感じです。ちなみに、この考え方は、資本主理論という考え方です。会計主体論のところで書いてありますが、負債と純資産の合計が資産と考える企業主体理論という考え方もあります。

●損益計算書(P/L:Profit & Loss Statement)
損益計算書は、一定期間の経営成績を明らかにするために作成されるものです。損益計算書は収益・費用・利益によって構成されています。損益計算書は単純に考えるとイメージしやすいですね。例えば、100円で物が売れた→売るために80円かかった→じゃ、利益20円だね。って感じです。損益計算書はこのようなことを一定期間やって、最終的にはこのくらいになりましたよっていう財務諸表です。

●株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書は、ものすごいざっくりと書いてしまいますが、「貸借対照表の純資産が規制緩和とかで複雑になったし、書くことが多くなったから動きが分かるように作ろうぜ」って感じです。これについても、ちゃんと書いていこうと思っているのでここではこのくらいにしておきます。

●キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書は、貸借対照表や損益計算書では把握できなかった資金の流れを表したものになります。貸借対照表や損益計算書上では良いのに倒産してしまう「黒字倒産」というものがあります。これは、利益があるにも関わらず資金がないため支払いができず倒産してしまうケースです。このようなこともあるので資金の流れをしっかり把握しようということで作成されます。
キャッシュ・フロー計算書は「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の3つの区分されています。詳しいことは、キャッシュ・フロー計算書について書くときに書きます。

財務諸表には、このように4つ大事なものがあります。今回は簡単に書いていきましたが、それぞれ1つずつ書いていこうと思いますが、簡単にイメージを作っておくことは意外と大事になると私は思っています。正直、それぞれを見て行くと意外と難しい内容となっています。なので、例えば貸借対照表について書くときも、一回に書かないで分けて書いていこうと考えています。まぁ、会計について勉強したことがある人は分かると思いますが・・・。

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参考文献
・某大手通信教育講座中小企業診断士テキスト
・片山覚 他『入門会計学 財務諸表を読むためのエッセンス』(実教出版)
・経営能力開発センター編『経営学検定試験公式テキスト<4>経営財務』(中央経済社)
・桜井勝久著「財務会計論講義』(中央経済社)